人を大切にする経営学会中国支部第9回公開フォーラムin松江②
フォーラムに先立ち、エクスカーションとして受賞企業見学が実施され、第14回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞を受賞した中村ブレイス株式会社を訪問させて頂きました。
同社は、世界遺産石見銀山に社を構え、障がいを持つ方の暮らしの向上と地域のまちづくりに貢献する、世界最高レベルのアート技術で障がい者をサポートする日本を代表する企業です。同社の歴史では、島根県大森町にある石見銀山は世界遺産に登録されていますが、その数十年前はゴーストタウンになっており、創業者の中村俊郎会長は「銀山の麓から、義肢装具を作って世界の人の役に立つんだ」と大きな夢を抱き、集中すれば道は開けると信じて耐え忍び、義肢装具を必要とする患者さまや地域の希望になれるよう歩んできた企業です。そして、常にチャレンジ精神で挑み続けて「障がい者に希望を灯す」企業に成長、大輪を開花されています。
社是は「Think」であり、一歩一歩、真摯にものづくりに励み、日本だけでなく世界各国、誰に対しても誠実に向き合うことを念頭に置き、製品開発に取り組んでおられます。
会社訪問では、中村宣郎社長から、こうした人を大切にする経営についてご説明を頂き、さらに各現場をご案内いただきました。また、技術者の方から、具体的な義手など義肢装具の製作を直接拝見することができました。企業の基本方針は、①顧客満足度向上を目的とした事業活動を行う、②品質マネジメントシステムを構築し、継続的に改善する、③文化・遺産の保護等に関わる社会貢献活動に取り組む、です。
また、中村ブレイスさんでは、事業で得た利益を、地域社会に還元して、地方創生に多大なる貢献を続けています。その特徴は、行政・金融機関の補助を受けず、全て自力で古民家を買い取り再生、これまでに約60軒の建物を修復して、ゲストハウス、オペラハウス、図書館などに再生しています。他にも、飲食店やドイツパン屋、雑貨店として生まれ変わり、地元の方や観光客にも利用されて世界遺産を支えています。さらに20軒は住居として、社員とその家族など約70人が住まれ、社員を中心にU・Iターンの住民が増えて子どもが増えて、人口減少に歯止めをかける少子化対策にも貢献しています。
同社では「再び世界に誇れる町に」との想いを胸に地域社会への貢献を続けていくと力強く語られました。心が洗われました。
さて、翌日、10月4日は、あいにくの雨が降るなか、松江城散歩をいたしました。
古い町並みを眺めながら、寺町から松江大橋を渡り、松江城を目指しました。
国宝である現存天守の甍は雨に濡れて輝いておりました。
雨もまた良しです。
この日は、松江駅から宍道湖畔を眺めながら、米子空港へ参り羽田へ向かいました。