人を大切にする経営学会第6回中国支部公開フォーラム

人を大切にする経営学会第6回中国支部公開フォーラムを開催しました。
当学会の常任理事の立場から私が進行役をつとめました。

加藤勝信厚生労働大臣から祝電を頂きましたので、会場入り口に掲示、披露させて頂きました。
開会にあたり主催者を代表して中国支部、支部長をつとめる萩原工業株式会社の浅野和志 代表取締役社長が挨拶を、続いて、主催校から岡山大学槇野博史学長が挨拶にたちました。

フォーラムでは、まず基調講演の1として、「大転換点にたつ企業経営~五方良しの経営実践のススメ~」と題して、人を大切にする経営学会会長の坂本光司先生が講演いたしました。現在のわが国を取り巻く厳しい環境を主要指標からわかりやすく解説いただきました。真骨頂は、人を大切にする経営を実践する企業は、社員が生きがいを持って活き活きと働いている企業であり、自ずと黒字企業となり、そうした企業では、家族も心豊かに生活を送ることができます。そんな家庭は自ずと子供の数も増えてきます。すなわち、人を大切にする経営こそが少子化に歯止めをかける施策なのです。この話は真実であり、国の創生の政策はさておき、民間主導でできる創生活動は、人を大切にする経営の推進活動に他ならないという事なのです。

続いて基調講演2として「聴覚障害者と歩んだ30年~情報から誰一人取り残されないために~」と題して、岡山放送株式会社 コンテンツ推進部・アナウンス室部長で岡山放送アナウンサーの篠田吉央氏が、まさにSDGsの真骨頂としての話題を提供して頂きました。

篠田氏の要諦は次の通りです。
OHK岡山放送は2019年6月18日、1993年から続けてきた放送活動「手話が語る福祉」が、全日本ろうあ連盟より「厚生文化賞」の感謝状を贈られ、同月16日に開催された全日本ろうあ者大会には、活動に携わった篠田吉央アナウンサーが出席し、感謝状を受け取りました。「厚生文化賞」は、全日本ろうあ連盟が 1968年から始めた賞で、OHKは「全国の放送局が手話放送を実現するための模範となりえる」との評価を受けています。厚生文化賞の歴史の中で、放送局が表彰されるのは今回が初です。聴覚障害者の防災について研究分科会では「手話が語る福祉」で取り上げた西日本豪雨の聴覚障害者の避難についてのニュース特集が上映されました。さらに2021年9月23日、国連が定める「手話言語の国際デー」に合わせて、手話への理解や普及を目指す「OHK“手話は言語”キャンペーン」を実施、放送活動「手話が語る福祉」など一連の情報のバリアフリー推進活動が評価され、世界中のバリアをなくす取り組みを行っている団体「ゼロ・プロジェクト」(本部:オーストリア・ウィーン)の国際賞「ゼロ・プロジェクト・アワード2022」を受賞したのです。日本の放送局として同アワードの受賞は初です。「ゼロ・プロジェクト」は国連広報省と連携し、国連障害者権利条約の理念に基づきバリアのない世界を目指し活動することを目的に、2008年にオーストリアのエスル財団によって創設された受賞制度です。プロジェクトの主要な活動として、毎年「ゼロ・プロジェクト会議」をオーストリアの国際連合ウィーン事務局で開催しており、障害者の生活が向上するために世界中で行われている、革新的な実践や政策の発表および表彰を行っています。

「手話が語る福祉」制作チームは1993年の発足当初より“手話は言語”を理念に、聴覚障害者・手話通訳者・テレビ局の3者で「OHK手話放送委員会」を立ち上げ、的確な手話表現を追求しながら28年間で284回の放送を続け、情報番組やインターネット上で手話表現を紹介、手話付きのオリジナル曲を制作するなど活動の幅を広げてきました。2020年には放送局で初めて「ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」において優秀賞を受賞。今年5月には慶応義塾大学SFC研究所と情報のアクセシビリティに関する共同研究の契約を締結し、学術的な考察も開始。9月23日、国連が定める「手話言語の国際デー」には、ニュースや特別番組での手話放送など、手話への理解や普及を目指す大規模なキャンペーンを実施し、手話放送に協力企業を表示するビジネスモデルの構築と実践にも取り組んできたのです。「ゼロ・プロジェクト・アワード2022」には86か国から381のノミネートがあり、8000人を超える専門家が投票、OHKはこれら一連の活動が情報のアクセシビリティの観点から、影響力、革新性、再現性、また革新的な実践行動であることを高く評価され、アワードに選出されることになったのです。これらの取組を全国に普及させてゆく手法をテレビ局として研究を続けており、さらに岡山モデルとして、手話放送に協力いただける企業・団体に対し「手話協力」として社名などを番組に表示する手法です。制作費を確保し手話放送の継続的な実施と普及につなげることが狙いです。手話放送に協力企業名を表示する岡山モデルは世界で普及すべき取り組みだと強い関心を示して頂きました。


また、自治体の記者会見を遠隔で手話通訳する情報保障の普及、最新の動きでは、人間ではなくメタバースの世界(英語の「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語 メタバースの由来は1990年代に発表されたSF小説に登場する架空の仮想空間サービス)を導入してアバターが手話により情報保障をする取組みがスタートしています。本学会での報告を契機に、多くの経営者や福祉団体、国からのアドバイスを受けて研鑽を積んでまいりたいと力強く断言いたします。

ここで会場に、岡山放送から中静社長の名代として田野口希 取締役がお見えでしたので、マイクを向けさせて頂き一言ご挨拶を頂戴しました。

休憩をはさみ、リレートークを開催しました。
メインテーマは「中国地域の叡智を結集~SDGsを視座においた真剣勝負の経営~」です。一番手は「企業は地元の雇用の為だけにある」と題して、株式会社カワトT.P.Cの川戸俊彦代表取締役(山口)、次に「全ては、みんなの夢の実現のために」と題して、協栄金属工業株式会社の小山久紀代表取締役社長(島根)、三番手が「実践 人生を豊かにする学校経営」と題して、学校法人柳心学園の柳谷由里会長(鳥取)、そして「敬天愛人の精神で世界をリードする」と題して、株式会社英田エンジニアリングの万殿貴志代表取締役(岡山)が、持ち時間20分と限られましたが、渾身のお話を披露頂きました。コーディネーターは、株式会社ペンタグラム壹岐 敬代表取締役(人を大切にする経営学会 常任理事)がつとめました。

中国支部副支部長で、島根電工株式会社の荒木恭司代表取締役社長が閉会挨拶をさせて頂き無事に閉幕しました。
学会報告や挨拶にありましたように、本学会は、いわゆるブラック企業を減らす活動を続けている学会でもあります。日本社会や経済は先が見通しくい時代を迎えていますが、この暗雲を払い去るべく、本学会、中国支部は、歩みを止めずに、一歩、一歩、前進を続けて参ることを総合司会から申し上げました。

懇親会は、岡山大学内のJ-terraceで開催されました。
坂本光司学会長はじめ登壇いただいた報告者に参加いただき、本学からも那須保友研究担当理事、副学長が参加させて頂きました。
今回の中国支部大会は岡山大学を会場にいたしましたので、事務局を担当頂いたもみじ銀行さんと段取りを整える運営業務を担当しました。私にとっては、運営事務局をつとめる最後の学会の大会運営になると自ら確信いたしました。