地域公共交通総合研究所シンポジウム

2021年夏に上梓した『地域モビリティの再構築』に沿いながらシリーズ・セミナーを開催して参りました。今回は、最終回として、第4回「再構築の総力戦は成るか?」を9月2日(金)13:00〜17:00(オンライン)にて、全国約600の自治体、研究者、交通事業者を結び、家田仁(政策研究大学院大学・特別教授)先生の進行により開催されました。
冒頭、開会挨拶を小嶋光信(地域公共交通総合研究所・理事長)が行い、家田先生から「総力戦のケーススタディ~実質効果と定着への脱皮~」というメインテーマに込めた思いが披露されながらシンポジウムは進行されました。
第1部は「総力戦のケーススタディ~実質効果と定着への脱皮~」と題して、次の6名の有識者、政策担当者、実務家により話題提供がされました。

  1. 「土木学会による日本の地域公共交通の体力診断」谷口綾子氏(筑波大学教授)
  2. 「公助を引き出す自助の取り組み~情報提供のあり方再考」大串葉子氏(椙山女学園大学)
  3. 「独禁法適用除外と交通ネットワークの再編成」細谷精一氏(前橋市交通政策課長)
  4. 「その後の三陸鉄道と気仙沼線/大船渡線BRT」五十嵐誠氏(東北運輸局・交通政策部長)
  5. 「シェアードモビリティの可能性~自転車の潜在力」工藤智彰氏(OpenStreet株式会社・代表取締役社長 CEO)
  6. 「共助モビリティの役割と可能性〜コミュニティ・カーシェアリングを通して確認できたこと」吉澤武彦氏(日本カーシェアリング協会・代表理事)

そして休憩を挟んで第2部の総括ディスカッションがありました。テーマは「総力戦は成るか?~そのキモを論じる~」です。
司会進行は、同じく家田仁先生が担当されました。パネリストは下記のとおりです(五十音順)。大串葉子氏(前出)、岡村敏之氏(東洋大学教授、第3回シンポジウム・コーディネータ)、谷口綾子氏(前出)、松本順氏(みちのりホールディングス・CEO)、そして、三村聡(岡山大学教授、第2回シンポジウム・コーディネータ)の5名です。また、途中で、家田先生のご依頼により、ゲストとして野村文吾氏(十勝バス株式会社代表取締役社長)が話題提供をしてくださいました。
小職は、公共交通を守るために求められる公助の役割とその限界性、また、何よりも大切な自助、共助のありようと、具体的な実装提案をさせて頂きました。とりわけ、欧州を代表として制度化されている交通税の必要性とその財源について、かつての政治主導で導入された特定道路財源や東日本大震災で学者が提案して導入された復興特別所得税を事例として、その可能性と問題点について言及させて頂きました。
こうして熱のこもった本音で語り合ったシンポジウムが終了いたしました。

総合司会の大上真司氏(地域公共交通総合研究所・副理事長)からの呼びかけに応じて、総括コメントを鶴田浩久氏(国土交通省公共交通・物流政策審議官)が行いました。また、結びは、大上氏の閉会挨拶で全体のシンポジウムはお開きとなりました。
全体はオンラインでの開催でしたが、国土交通省はじめ岡山からは真庭市長などゲストの皆さまにはリアルでご参加頂きました。

続いて、隣の場所を変えて、岡山の最高層マンション「杜の街グレース岡山ザ・タワー」の最上階にて、関係者によりシンポジウム反省会と次期企画会議が開催されました。
眺めも格別ながら、景色と一体感を醸し出すおしゃれなバスルームを見学させて頂き驚きました。
残念ながら、徒歩数分の小職のクラシカルマンションは、低すぎて探し当てることが出来ませんでした。
思い出に残るシンポジウムであり、一日でありました。
なお、第1部の講演者の資料は当研究所のホームページにアップされています。
ご興味、ご関心のある方はダウンロードしてご覧くださいませ。