柳生博さん逝く

自然をこよなく愛された柳生博さんの訃報に接し心より哀悼の意を捧げます(4月16日、85歳、老衰によりご自宅でご逝去)。
トヨタ自動車の研究所時代に「日本野鳥の会」の活動を支援していました。
その時の日本野鳥の会の会長が柳生博さんで、何度かご一緒させて頂く機会を得ることができました。
豪放磊落ながら、一方で温かで繊細な気配りをされる名優でした。

一番の思い出は、国土交通省日本風景街道調査の時に北海道の道東コースの調査に随行したときのことです。
流氷に覆われたオホーツク海に面する最北端のまちウトロ町、その厳寒の知床のまちで、自然環境の大切さと素晴らしさを語って頂いた一夜が忘れられません。
そして道中で様々なお話をお聞かせいただいた日本野鳥の会の皆さんは、野鳥の専門家であると同時に、動物、植物、魚など自然界の生物が命をつなぐための行動や摂理を通して、生態系全体を俯瞰する眼力を持った専門家であり、太古から人間が自然と対峙しながら身につけてきた自然と共存しながら生きてゆく知恵を伝承している達人の集団であると強く感じたのでありました。

柳生さんは、東京にもご自宅がありましたが、山梨の八が岳の山荘のご自宅で、病院に入院されることなく、老衰として天命を全うされたとお聞きしました。
まさに自然に抱かれたご臨終であったと拝察いたします。
偉人の思い出を辿りながら合掌。