地域総合研究センター設立10周年記念シンポジウム

岡山大学地域総合研究センターは、2011年11月15日に開所されました。
11月8日はリハーサル、そして、11月9日、岡山大学創立50周年記念館において、地域総合研究センター設立10周年記念シンポジウムが開催されました。


冒頭、槇野博史学長から基調講演を頂き、続いて小職がセンター長の立場から、この10年を振り返りました。
続くパネルディスカッションでは、「地域資源として岡⼭⼤学に期待するもの」と題して、倉敷市長伊東⾹織様、岡山経済同友会代表幹事梶⾕俊介様、NPO法人まちづくり推進機構岡山代表理事徳⽥恭⼦様、小職の4名により、地域と大学の連携の在り方について議論がなされました。進行役は、加賀勝上席副学長がつとめました。
さらに、続く活動報告「ローカルからグローバルへ」では、進行と報告を岩淵泰副センター⻑が担当、フルブライト奨学⽣デイビッド・M・アンダーソンJr.⽒とアーバンデザイナーサウミャ・キニ⽒(米国ポートランドとつなぐ)の3名が、留学生の立場から見た岡山と岡山での学びについて、真摯な意見を述べくれました。
結びに⾼橋⾹代理事の心のこもった謝辞にて閉会いたしました。

さて、地域総合研究センター設立の目的は「学都」の創生にあります。
設立時に「学都創生の鍵は、大学人が地域の人々と連携し、地域の人々が世界の人々と連帯するという活動理念を持つことであります。これまで、多くの国立大学は、その人材養成の理念を国家に有為な人材を提供することに重点を置き、医療や地域教育などを除けば、大学は地域や地元の都市に深い連繋意識を持つことが少なかったと思われます。すなわち、グローバルな視野で地域が自立する事に貢献する大学をめざし、地域の人と連携しつつ地域の善き頭脳となり、地域のための優れた人材養成の場となり、知的に高度な地域サービスを提供する大学を作りたいと考え、岡山大学は地域総合研究センターを設立しました。」と謳い、今日までこの理念とも申すべき志をつないで参りました。
これでの足跡を振り返りますと、2013年岡山大学概算要求に向けた企画提案を文部科学省高等教育局に対して提出する担当をさせていただきました。テーマは社会と連携した実践型教育の全学への導入です。この大型予算を獲得して、全学の教養科目、専門科目、大学院科目に「実践型社会連携授業」を配置いたすお手伝いをいたしました。
学生のまちづくり活動では、学生みずからがまちづくりに参加、大学と地域をつなぐ企画を募集・審査、必要な経費を含め活動支援を実施。選ばれた学生たちは、中心市街地の賑わい創出、中山間地域活性化などの活動を通じ、地域の課題解決の提案と実際の活動を展開してきました。こうして社会へ巣立つための生きる力を得ています。
さらに、岡山大学は、国際的なネットワーク社会において、人文社会、教育、環境、自然、医療の分野を包含した国際的な「リージョナルセンターを持つ大学」に押し上げ、そこから岡山大学を真に個性的な、卓越した大学に作り上げていくことが必要であると考え地域社会に「岡山の地にあってこそ世界から人が集まり、世界に輝く大学を作りたい」と「産官学金言」連携組織の設立を提案。2016年4月1日、こうした呼びかけに、岡山県、岡山市、倉敷市、岡山商工会議所、岡山経済同友会、中国銀行、山陽新聞社が賛同、地域総合研究センターを事務局に、地域社会を構成する関係者と共有、具現化すべく「おかやま地域発展協議体」を創設いたしました(現在、事務局は社会連携支援課)。


こうして現在まで、5年以上にわたり定期的に協議体を開催、現在は岡山大学高橋香代理事が委員長をつとめ、産官学金言が、それぞれの話題・課題を持ち寄り、オール岡山が連携を強めながら地方創生やグローバル化への歩みを着実に進めています。
近年では、岡山大学が掲げるSDGs大学経営の旗頭の下で、専門部会「SDGs研究会」を核にオール岡山が知恵を出しSDGsを推進する原動力としての役割を担っています。
そして、2016年10月1日、産官学金言のトップで構成する、おかやま円卓会議を設立いたしました。こうして、日本経済新聞社が主催する、全国761の国公私立大学を対象として、大学が地域社会にどのような貢献をしているのかを探る「地域貢献度」調査において、日経グローカル「大学の地域貢献に関する全国調査2021」総合ランキングで14位にランクアップしています。
この度はシンポジウムを開催することができました。
地域と岡山大学をつなぐ全学センターとして、社会貢献活動、実践型社会連携教育、シンクタンク機能を果たしながら、地域の皆様と共に歩んで参りました。支えてきてくださった皆様に心より深く感謝申し上げます。
課題山積で混迷する時代にあり、この10年間を振り返れば『地方創生道半ば』ながら、私たちは夢と希望を掲げ、歩みを止めず、真に幸せを感じられる社会の実現を目指して、地域の皆様と共にSDGsで歩みます。

私事ながら、残された現役生活はわずかながら、また新たなページを刻んで参ります。
引き続きのご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。
事務所に飾らせて頂いた岡山シーガルズ様から届いた祝いの花に感謝。