新見で新規事業視察

新見市では学生による森林ボランティア活動を続けています。

ところがコロナ災禍の影響で昨年度は2回とも休止、新年度も見通しが立たない状況です。

1年以上、顔合わせが出来ていませんでしたので、5月3日、お誘い頂き、この森林ボランティア活動の拠点である、鳥取県境に近い、新見市神郷地区を訪ねました。

さて、朝から高梁川に沿って北上、途中、高梁市で地の方が作られたお寿司とドーナツを買いました。そして川辺にある山中鹿之助の墓所にお参りいたしました。山中鹿之助は、いまの島根県安来市に生まれた尼子氏に仕えた戦国武将として有名で、衰亡した主家に忠誠を尽くして戦い続け、その有り様が武人の誉れとして語り伝えられ「われに七難八苦を与えたまえ」と月に祈った名言は特に有名です。毛利の家臣により、ここ高梁市で最期を迎えています。その墓所は小さな公園になっており、ベンチにかけて、古の時代に思いを馳せながら、そこで朝昼兼用の早めのランチといたし、ひと休みしました。

それから再び高梁川沿いを北上しました。

比較的道がスムースに流れましたので、待ち合わせの時間に余裕がありました。

そこで、ナビに表示された「建長寺」(鎌倉は有名)の文字にひかれて、途中を左折して山道へ入りました。

30分程参りますと、眼下に先ほどまで走ってきた高梁川沿いの集落を見下ろせる広場に出ました。そこに見事なお寺が現れました。観光ルートには無いため、人影はありませんでした。境内を一回りさせて頂き、岡山県はどこにも、あちらこちらに見事な神社仏閣があるものだと改めて感心いたしました。

そして、新見市内で手土産を買い求め、一路、新見市の最北端に位置する神郷地区高瀬へ向かいました。学生たちの活動の面倒を見て頂いている責任者の、一般社団法人 人杜守(ひとともり)の多賀紀征理事長と待ち合わせをして、まず、多賀理事長が新規に完成させた、イタリアンのピザ窯で使用するためのマキを製造する工場を見学させて頂きました。

使用する木は、学生たちが間伐作業で倒木している杉やヒノキだと思いましたら、これらは燃やした際に煙が多く出るとか水分の関係など、ピザ焼きには適さないとのことで、樫やナラ、そして日本ではコルクの原料として使われてきたアベマキ(乱獲で生産量が減ったそうですが、岡山県は全国有数の産地だったそうです)など、常緑樹や広葉樹を使用するとの説明を受けました。

新見市の補助金を有効利用して完成した作業場は、シンプルな造りながら、あちらこちらに創意工夫が凝らされていて、その建屋の構造と商品の生産工程について説明を受け、「なるほど、なるほど」の連続でした。

新見市は農業や果樹、畜産業も盛んですが、市のほとんどが森林ですので林産業も盛んです。ただし、木材価格の長期低迷が続く中で、担い手不足も収益確保が大きな課題となっています。こうした事情に負けないよう、こうした原材料を加工することにより付加価値をつけて出荷するビジネスに注目が集まります。全国のレストランへの供給ルートを持つ企業との連携で、既に生産が追い付かないとのことです。

こうした取り組みをお聞かせいただき、地域の資源を活かしながら知恵を絞り、新たな事業を立ち上げるという、生きる力の強さを感じさせて頂きました。

さて、岡山平野はすっかり桜の時節を終えています。

ところが、ここ神郷では、いまが山桜系と八重桜系の品種でしょうか、桜が満開でありました。新見神郷咲く桜の特徴は、花と葉が同時に開くことですよ、と教えて頂きました。
田植えもはじまり、桜の花の中での田植えの風景は、コロナのことをすっかり忘れさせてくれました。

本当に心が安らぐ、まさに日本の原風景である田園と里山の風景が広がります。

そして、多賀理事長の広い敷地にどんと構えたご自宅へご案内頂き、納屋を開放して屋外で開催されたバーベキューにご招待いただきました。

大勢の子供たちの元気な姿がそこにはあり、家族ぐるみの付き合いとでも申しましょうか、都市では低下しつつある、コミュニティの絆の強さを感じずにはいられませんでした。

多賀理事長と仲田有志理事の奥様方を中心に準備が進みます。

その支度ができるまで、子供たちと一緒に、敷地内にある広い池や烏骨鶏の鶏舎、トマトのハウスなどを廻り、山の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、散歩を楽しみました。

本当に童心に帰り、清々しい時間を過ごさせて頂きました。

そして、いよいよお待ちかねのバーベキューでは、地域の課題や家族や子供の健康、将来の新見市の姿など、日暮れまで話題は尽きませんでした。

大自然に抱かれたステイホーム(コロナ禍での暮らし)は、都市の生活では、なかなか日常の風景として味わうことはできません。

くつろぎの時間が過ぎて、日が暮れましたので、クルマで5分程にある神郷温泉へお連れ頂きました。ここでも至高のときを過ごしました。

そして、ボランティア活動の宿泊拠点として、いつもお世話になっている、松下茉央(まお)ご夫妻が暮らす、通称マオハウスへご案内頂きました。そこで2次会と称して、一日のお仕事を済ませた、地域おこし協力隊として東京から来られて10年目を迎えた方はじめ、ご近所から別のゲストの方がお見えになり、新見創生に向けた談義に花が咲きました。

こうして、私にとって、今年のGWのビッグイベントはお開きとなりました。

多賀理事長、仲田理事、松下理事はじめご家族の皆様方のお心遣いに深く感謝いたします。