倉敷市災害に強い地域をつくる検討会

倉敷市は、「平成30年7月豪雨災害対応検証報告書」を4月に取りまとめました。この報告書の住民の避難行動に関する調査結果では、避難勧告を86%の人が聞きましたが、実際に避難した人は57%でした。市では、この結果を踏まえ、住民への情報提供や周知の在り方、自主的な避難を促進するための検討を行う「倉敷市災害に強い地域をつくる検討会」を設置し、9月17日に初会合を開き、11月29日、第2回目の検討会を開催しました。

第2回目となる検討会では、前回の豪雨で亡くなった方51人の避難行動調査の結果が公表されました。その結果、垂直避難さえしていれば助かった可能性がある方が大多数で、犠牲者の約9割が高齢者、要支援・要介護認定者は全体の約4割と、支援が必要な方への対応が極めて重要であることが明らかになりました。特に住居で亡くなった42人の方のうち2階建ての1階で犠牲となった方が22人と最も多いという結果に声を失いました。すなわち、浸水深5メートル未満で亡くなった19人におかれては、垂直避難さえできていれば命が救われた可能性が高いとの結論を得たため、この結果を踏まえた議論がなされ、住民が自主的に避難できる環境づくりや地域の防災力を高めるためには、こうした自宅であっても2階へあがれないなど、支援が必要な高齢者を如何に守ることができるか、その方策を考えることが重要であるとの認識で一致しました。

本検討会は、防災教育や避難対策の有識者、住民代表など8人で構成されており、市長を囲みながら、今後は地区防災計画策定などに向けた行動計画を取りまとめてゆく予定です。

ちなみに委員長には東京大学大学院の片田敏孝特任教授が就かれ、真備地区の復興計画推進委員会でご一緒している東京大学生産技術研究所の加藤孝明教授と共に小職も委員として出席させて頂きました。他の有識者メンバーは、香川大学IECMS地域強靱化研究センターの磯打千雅子特命准教授、京都大学巨大災害研究センターの矢守克也教授です。

さらに岡山河川事務所、高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所、岡山県危機管理課長,備中県民局地域防災監など、国や県からもオブザーバーでの参加があり、白熱した本音の議論が展開されました。