人を大切にする経営学会 第6回全国大会in立命館大学


今回、第6回大会のメインテーマは『働き方改革を超えて』です。

会場は立命館大学大阪いばらきキャンパス、初日の9月7日は、設営、理事会、総会、大会、情報交換会という流れ、二日目8日は3つの分科会に分かれ、最後にまとめの時間がとられました。初の関西地区での全国大会の開催となりましたが、全国から300名を超える参加がありました。


大会記念講演では、まず千房株式会社 代表取締役会長の中井政嗣氏を招き、「できるやんか!-人間って欠けているから伸びるんや-」との演題で、中学校卒業と同時に乾物屋に丁稚奉公した中井氏は、昭和48年大阪ミナミ千日前にお好み焼専門店「千房」を開店、大阪の味を独特の感性で国内は勿論、海外にも広めてこられました。その間、昭和61年、40歳にして大阪府立桃谷高等学校を卒業。現在、 社会問題化している青少年の教育に対し、経験をふまえた独特の持論が社会教育家として注目を集め、全国各地の教育委員会・PTA・経営者団体・企業での講演は多くの人々に感動を呼び起こしています。特に、罪を犯した人を採用して社会復帰を促す活動をしておられ、その苦労話の中に確固たる信念を貫き通す姿に、講演終了には会場全員がスタンディングオーベーションで賛辞を送りました。

続いて基調講演1では、三和建設株式会社から代表取締役社長の森本尚孝氏より、「典型的ブラック業界?!・建設業における働き方改革を超える理念経営」と題して講演頂きました。三和建設は、サントリー山崎蒸溜所をはじめとした大手企業や中小中堅企業の工場・倉庫・事務所などを中心した建築事業を行う専門性を活かした企業で、「働きがいのある会社ランキング」に5年連続ベストカンパニー入り、第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞を受賞している企業であり、社員を大切にする経営独自性に心打たれました。

続いて基調講演2では、日本で一番大切にしたい会社大賞厚生労働大臣賞創設を担当頂いた前厚生労働省高齢・障害者雇用開発審議官の北條憲一氏を迎え、「働き方改革と人を大切にする経営」のテーマで講演頂きました。北條氏は、1982年東京大学卒業、1984年同大学院修士課程修了(教育心理学(認知心理学、モチベーション論))。1984年労働省入省。厚生労働省において、就労支援室長(生活保護受給者、ホームレス、刑務所出所者等の就労支援などを担当)、雇用開発企画課長(雇用管理(人的資源管理)、雇用関係助 成金制度、日本で一番大切にしたい会社大賞厚生労働大臣賞創設などを担当)、宮城労働局長、高齢・ 障害者雇用開発審議官(障害者・高齢者の雇用促進(特に、国・地方における障害者雇用率不適切計上事案、70歳までの高齢者就業機会確保施策等)を担当)等を歴任し、2019年7月退官されています。心のこもった講演をいただきました。


最後は内閣府特命担当大臣の片山さつき氏を迎え、「まち・ひと・しごと政策 2019の戦略と今後五年間の展望」との演題で特別講演を頂きました。その内容は「働き方改革を超えて」が統一テーマでありますが、「地方創生とSociety5.0&SDGs&スーパーシティ」一色でありました。地方国立大学改革にも踏み込まれました。

片山大臣は、1959年さいたま市生まれ。東京大学法学部卒業、大蔵省(現・財務省)入省後主計局主計官等女性初のポストを歴任され、2005年に静岡7区(浜松・湖西)で選挙区当選し経産政務官、党広報局長等を歴任後、2010年7月に参議院比例区自民党当選、総務政務官、予算委 理事、環境部会長、外交防衛委員長、総務副会長等を歴任、2016年7月に再選。自民党政調会長代理、参議院政審会長代理、人生100年時代戦略本部一億総活躍推進本部・地方創生副本部長、再生エネルギー普及拡大委員長。2018年10月に第四次安倍改造内閣にて、内閣府特命担当大臣に就任というプロフィールです。

片山大臣は情報交換会にもご参加になり、その席で懇談させて頂きましたが、父方が岡山の玉島(倉敷市)にご縁があるとご紹介くださいました。元大蔵官僚、誠にシャープな切れ味鋭い方でありました。会の〆は、株式会社天彦産業の代表取締役社長樋口友夫、当学会関西支部支部長、今回第6回大会実行委員長から挨拶を受け初日が無事に終了いたしました。


二日目は、発表1として、青葉総合法律事務所の杉田敬光弁護士の「働き方改革を超える就業規則」を、そして発表2として、隂山建設株式会社の代表取締役社長隂山正弘氏の「安心して働ける職場環境整備の実現」を拝聴いたしました。隂山建設さんは福島県郡山市で建設業を営まれていますが、昨年の7月豪雨災害では、倉敷市真備地区へ復旧作業に参加いただき、真備支所やファミリーマートの土砂撤去作業はじめ多大なるご支援を頂いた企業であります。発表後の質疑応答のお時間をお借りして、謝辞を申し上げました。

この第2分科会の司会を務められた「社員を大切にする」ことを経営理念として貫く、日本を代表するエクセレントカンパニーである日本レーザーの近藤宣之代表取締役会長にお願いして、岡山の企業であるセリオの壱岐敬社長と3人で記念撮影をさせて頂きました。

今回の大会も大いに学ばせて頂き、心に刻まれる大会となりました。

次回の第7回大会は立教大学で開催される予定です。