岡山シーガルズ創立20周年記念に寄せて

令和元年6月1日は、シーガルズがクラブチームとなり創立20周年を迎えた記念すべき日です。6月3日は岡山商工会議所をお借りして、プレス発表として記者会見を開催いたし、これを機に、チームの母体企業であった株式会社ウォークの社名を岡山シーガルズ株式会社と改め、代表取締役に河本昭義監督が就任することを発表いたしました。

多数のテレビカメラが集まる中で、まず、市原誠二社長からクラブチームとしてのこれまでの歩みが苦労話を交えながら披露され、そして河本昭義監督の社長就任に合わせて、河本新社長から、経営理念とこれからの目指すべき道筋について報告がなされました。

さて、岡山シーガルズについては、このブログでも何回も紹介いたしましたが、ここでもう一度、顧問の立場から改めて紹介したいと思います。

岡山シーガルズは、実業団チームであった東芝を離れ、一時は富山に本拠地を置いた時代がありますが、監督の河本昭義氏が、岡山県笠岡市の出身であることから、岡山国体を契機に岡山県から招聘要請を受け、岡山に本拠地を置くクラブチームとして再出発を果たしました。

爾来、岡山を中心とした市民が支えるチームとして、ここまで歩みを進めて参りました。おかげを持ちまして、2020年の東京五輪を控えた2019年、クラブチームとして創設20周年を迎える運びとなりました。

ところで、一般的にプロスポーツクラブは、試合を通じて一般消費者に娯楽としてのスポーツ観戦の機会、そして興奮を通じて満足感を提供しています。

岡山シーガルズはクラブチームとして、地域の方々と日常を共有していることから、多くのファンは、監督の指導方針や選手の性格を熟知され「共に参加している」という意識を持ちいただきながら試合を観戦しています。それは地元メディアの皆様が、非日常的ではなく、「わが街」のトピックとして恒常的に取り上げてられていることが大きくプラスに影響しています。

また、バレーボールは、世界220か国、約40億人のスポーツ人口を有し、わが国でも学校体育からPTA対象種目、またママさんバレーまで多くの人たちが取り組めるスポーツとして、子供たちの教育や道徳の面から、社会人スポーツとして健康増進やコミュニティの活性にも貢献する国民的な競技種目であり、また、体育館さえあれば、子供から高齢者まで継続して、しかも比較的コスト面でも安価に楽しめる種目です。

さて、岡山シーガルズの人材育成の考え方について河本監督は次のように語っています。「最近の若者は、協調性に欠けるとの指摘が、しばしば聞かれます。少子化に代表されますように、子供の数は年々減少傾向をたどり、昔のように大勢の兄弟姉妹のなかで、夕食のおかずを奪い合うといった光景は姿を消しました。子供の頃から自分の部屋が確保され、インターネットやスマートフォンで友人や世界と自由につながる環境が日常となりました。また、戦後は経済優先の社会が主流となり、企業は競争相手に勝つことにより利益を得ることを優先する時代がながく続いてきました。

こうしたなかで、私たち岡山シーガルズは、プロチームですから、試合に勝つことを目標に掲げない訳ではありませんが、それを第一義にはしていません。入団した選手ひとりひとりの個性を大切にしながら、まず人間づくりから始めます。自分をみつめ己の劣っている点を鍛えます。そこでは、互いが歯車を合わせ、力を一つに集中して発揮できるよう、練習のみならずバレーボール教室や地域への積極的な社会貢献活動、海外チームとの親交・親善を通じて、選手の心とチームの結束力を鍛錬します。そして市民の皆様との交流経験を通じて、時には人の心の温かさに触れ、時には叱咤激励をいただくことで、日本人が大切にしてきた真の「絆」と「思いやりの心」を礎として、チームメイト同士が手を携えチームプレーで高みをめざしています。

つまり、岡山シーガルズには、己を過信した個人技に長けた技術屋的な選手は必要としないのです。互いの個性を尊重しながら選手間の関係性を築き上げ、結束力が生まれてはじめて、個々の能力が開花すると確信して指導にあたっています。

こうした活動が実を結び、チームが弱体化して窮地に陥った折にも、県民の皆様を中心に、全国、そして世界から多くのファンが励ましのエールを送ってくださることで、地域に愛されるチームとして、今日まで20年間、よく頑張った、と深く感謝しています。

これからも、皆様方に愛着をもって見守って頂きながら、チーム一同が、身を慎み人倫の道を守ることを旨とし、スポーツ文化向上と女性が輝く社会の実現に向けて地道な活動を続けて参ります。また、岡山県出身の選手から全日本の代表として世界で戦える人材の育成・輩出を目標に、地域の皆様と共に歩んでまいります。」

ここまでの歩みを振り返りながら、こうした感謝の思いを込めた、創立20周年を語る「社名変更」を発表する記者会見となりました。

具体的な組織改革や財務改革については、これまで顧問を務めさせていただいた小職から、記者の皆様にお答えいたしました。岡山大学へ着任して8年、社会貢献の担当として、微力ながら活動を続けて参りましたが、小職にとりましても、この日の記者会見をお手伝いすることは、大学が地域資源としてお役に立てた大舞台であり、望外の喜びを噛みしめられる記念すべき日となりました。

こうした6月3日の記者会見に続き、6月10日は、プラザホテル岡山で感謝会が開催されました。

監督からの振り返りと、記者会見でのポイントとなった、これを機に、これまでの経営母体であった株式会社ウォークから岡山シーガルズ株式会社へ社名変更を行い、経営陣も河本昭義監督が、正式に代表取締役社長に就任したこと。


また、高田さゆり取締役マネージャーが、ここまでの足跡をスクリーンで紹介しながら、その折々にお世話になって支えて下さった方々に登壇いただき、思い出を語っていただくシナリオで会は進行しました。

高田マネージャーの涙の語りに誘われて、来場された多くの皆様の目頭は熱くなり、また涙がこぼれるシーンが続きました。

結びに小職も登壇させて頂き、新たな時代を切り開く岡山シーガルズ株式会社の企業理念の明確化、組織事業計画改善、資金収支計画の適正化、業務事務及びシステム改善、増資計画など、次の20年、きちんと持ちこたえられる組織体制の整備が完了しつつあるとの報告を皆様に差し上げ、こうしたお手伝いを岡山大学として実施して参ったことを併せ報告させて頂きました。


なお、大学公務の合間を縫ってのボランティアとしてのお手伝いですので、改革作業は2年間に及び、さらに目標達成までに、あと1年程度の期間を要しますが、この度の20周年感謝会の席で、岡山大学の社会貢献活動により、組織改革が大きな成果を収めることができた点を社会に広く周知することができました。

岡山シーガルズは、市民の皆様に支えられながら活動するクラブチームです。

会の結びに、新たなチームの門出にふさわしく、山口舞キャプテンの引退に伴い、新キャプテンに、シーガルズで13シーズン目を迎える吉田みなみ選手と日本代表の経験もある川島亜依美選手の2人が就任、二人から挨拶を受け、会場は大きな熱気につつまれるなかで、めでたくお開きとなりました。

皆様方の引き続きましてのご支援・ご声援をよろしくお願い申し上げます。