京都大学博士学位授与式

京都大学博士学位授与式
1月23日に学位が認められた京都大学博士号(経済学)の学位授与式が3月23日京都で開催されました。来週4月1日が父の3回忌です。今年は戦後70年、父は家が貧しくて、大学へ進学させてもらえず、工業高校卒業後、海軍へ志願、エンジニアとして従軍し、長崎大村基地(現在の長崎空港)で終戦を迎えました。特攻命令を受けており、あと3日、終戦が長引けば、命を落としておったと生前に語っておりました。長崎原爆を体験しております。母の父親(祖父)は愛媛師範学校から金持ちだった祖母方の支援で東京へ出してもらい日本大学で語学を学び高校教師となりましたが、捕虜収容所通訳として従軍、36歳の若さでフィリピンミンダナオにて戦死です。母は代用教員として働きに出て当時残された家族の暮らしを支えたようです。
今の私たちには学ぶ自由が与えられています。半身不随で、施設では十分に気をつけるようアドバイスを頂きましたが、母を冥途の土産に学位授与式へ連れ出し、向こうへ行ったら、父に宜しく伝えて欲しいと頼み込み、連れ出しました。戦争は人の幸せ全てを容赦なく奪い去ります。命あった者のその後の人生まで散々な労苦を背負わせます。それでも人は力強く生きて参りますが、東日本大震災は自然災害、戦争や原発事故は人災であることを、私たちは決して忘れてはならないと思います。
京都大学博士学位授与式
こうして、両親が果たせなかった夢への親孝行として、相当に無理をさせましたが、母を学位授与式へ連れてまいりました。前日は、京都大学の正門からキャンパスを車椅子で散歩しました。学内で昼食を頂き、その後で旧制第3高等学校や帝国大学時代の京都大学の歴史と学風を伝える歴史展示室を見学し、指導でお世話になった川北英隆教授は海外出張でお会いできませんでしたが、経済学研究科の建物などを紹介しました。
京都大学博士学位授与式
京都大学博士学位授与式
当日は、55歳という高齢での授与であったためか、論文博士(経済学)の学位授与代表者として、壇上にあがらせて頂き、山極壽一総長より学位記を、直接手渡しで授与頂きました。生涯、忘れえぬ、最も感動した瞬間でありました。思わず「ありがとうございました」と大きな声を出してしまいました。
京都大学博士学位授与式
山極壽一総長のメッセージを大学HPより引用させていただきます。
京都大学は1897年の創立以来、「自重自敬」の精神に基づき自由な学風を育み、創造的な学問の世界を切り開いてきました。また、地球社会の調和ある共存に貢献することも京都大学の重要な目標です。一方で今、世界は20世紀には想像もしなかったような急激な変化を体験しつつあります。東西冷戦の終結によって解消するはずだった世界の対立構造は、民族間、宗教間の対立によってますます複雑かつ過酷になっています。他方、地球環境の悪化は加速し、想定外の大規模な災害や致死性の感染症が各地で猛威をふるい、金融危機は国の経済や人々の生活を根本から揺さぶっています。その荒波の中で、大学はどうあるべきかを真摯に考えて行かなければなりません。そして、国は産官学連携を推進してグローバルに活躍できる人材育成を奨励し、国際的に競争力のある大学改革を要請しています。京都大学が建学の精神に立ちつつ、どのようにこの国や社会の要請にこたえていけるかが今問われています。本来、大学の使命は、教育、研究、そして社会貢献です。このうち、研究と社会貢献は世界の動きに応じて変わっていく性格を持っています。しかし、教育の本質は変わってはいけないと思います。京都大学は自学自習をモットーにして、社会とは少し距離を置きながら常識にとらわれない、自由の学風の学問の都であり続けなければなりません。そのためにまず、京都大学は静謐な学究の場であるとともに、世界や社会に通じる窓としての役割を果たさなければならないと思います。そして、窓を開けるのは世界や社会の最先端を熟知している教員であり、窓を出ていく学生たちが大学の主役です。実践の場に出ていく学生たちが大学で習得した能力を十分に発揮できるように、これらの窓は産官学の連携によって慎重に用意されなければなりません。一方、運営費交付金が削減され、競争的資金の獲得が奨励されるなど大学を取り巻く財政事情が変化する中にあって、大学が教育環境を改善するためには自己資金をもつことが不可欠です。そのためには、その必要性を広く社会に訴え、京都大学に期待する産業界や京都大学の卒業生の方々にご支援を賜りたいと考えています。併わせて地域との連携を強化し、世界に誇る文化の都である京都という場を利用しながら、京都を大学キャンパスとして豊かに発展させるべく他大学と協力していきたいと思っています。さらに、世界の大学から優秀な教員や学生を呼ぶためには、魅力ある京都で独創的な教育カリキュラムや共同研究プロジェクトを提供し、それを世界へ発信する必要があります。それは地域の発展、ひいては日本や世界の将来に大きく資すると考えています。総合大学、研究型大学として京都大学がやるべきことは、教養・共通教育、専門教育、大学院教育を豊かに組み合わせて、創造力と実践力を持った人材を育てることです。そのためには、学問の多様性と階層性を整え、さまざまな選択肢を許容する教育体制が必要です。学生たちの能力が開花するには時間がかかります。拙速に自分の将来を決めずに、価値ある試行錯誤を経て確かな未来を選択できるように、包容力を持った学習の場を提供したいと思います。豊かな発想力をもつ学生を育てるためには、教職員自らが世界から注目される研究と社会貢献に努めなければなりません。10学部、18大学院・研究科等、日本最多を誇る14研究所と多くの教育研究施設等からなる京都大学が全学体制でそれを推進できるように全力を尽くしたいと思います。


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