これからの地方都市のあり方が問われるなか、都市経営の観点、環境負荷の軽減、地方創生などの視点でまちづくりを考える時代が到来しています。これからのまちづくりは、人々の移動の質量の拡充、回遊性の拡大が地域(中心市街地)の活性化につながると考えられています。こうしたなかで公共交通と個別交通とを総合的にマネジメントする発想である「都市交通マネジメント」が求められています。
11月5日、こうしたなか、パーソナルモビリティを新たな移動手段として考えるきっかけを作りたいとの思いから、車両展示&試乗を兼ねて、超小型モビリティと呼ばれる「i-ROAD」(2台)とコムス(3台)をトヨタ自動車のご協力によりお借りして、展示・試乗会を岡山大学工学部前~教育学部前周辺を会場に設定して開催しました。
▲ COMS(コムス)試乗会の様子
試乗会では、森田潔岡山大学学長はじめゲストとしてお招きした国土交通省徳山日出男技監、大森雅夫岡山市長、経済界、NPO、マスコミはじめ大勢の学生たちが、小型モビリティの運転を体験しました。
▲ i-ROAD(アイロード)に試乗する岡山トヨタ社長の梶谷俊介氏
ここで、徳山技監についてご紹介しますと、徳山技監は、わが国における戦後最大の国難と言われる東日本大震災に際して、当時、東北地方整備局長として、その最前線で、最高指揮官として、不眠不休で陣頭指揮をとられ、復旧・復興に尽力されました。その際に、関東大震災、以来である「道路啓開」を発令され、「クシの歯作戦」と呼ばれる迅速な対応で、被害を最小限に食い止められたご功績は、後世に大きな教訓として受け継がれることとなりました。いまも、技監というお立場から、引き続き東北の復興に向けて汗をかいておられます(2011年4月三村ブログ「東日本大震災(1)参照)」
さて試乗会の後は、会場を岡山大学自然科学研究科棟2階 大会議室(大講義室)へ移してシンポジウムを開催いたしました。
▲ 国土交通省徳山日出男技監
全体の進行役として総合司会を小職が担当させていただきました。冒頭、開会挨拶を岡山大学社会貢献担当理事で副学長の荒木勝教授が行い、基調講演では、国土交通省、徳山日出男技監より、地方創生の動きや今後の地方の政令指定都市における役割、そして地方の拠点都市における都市交通システムのあり方と進むべき方向性をお聞かせいただきました。また、続いて大森雅夫岡山市長が、岡山市における都市及び交通の問題、コンパクトシティ構築へ向けた取り組みなど、これからの岡山市の都市交通計画のあるべき方向性を示しました。
▲ 大森雅夫岡山市長
さらに、パネルディスカッションでは、地方中核都市のまちづくりと都市交通システムを考えることをメインテーマとして、筑波大学大学院石田東生教授をモデレーターにお願いして、徳山技監から地方創生に向けた国の都市交通政策の今後の方針を、また、大森岡山市長から岡山市の取り組みを、さらに東京大学大学院鎌田実教授、熊本大学大学院溝上章志教授にパネリストとして加わっていただき、新しい都市交通の可能性、これからのモビリティの進むべき方向性、高齢者の移動機会拡大に向けた取り組み、地域の活性化に向けた熊本市の取り組みについて持論を展開いただきました。
地元からは、岡山市と経済界が進めてきた都市計画と交通計画に関する成果と現状の課題、さらにはトヨタ自動車としてのまちづくりの考え方について、梶谷俊介岡山経済同友会地域振興委員長(岡山トヨタ自動車㈱代表取締役社長)が披露されました。また、大学と行政、経済界とNPOや市民が連携してまちづくりを進める上で、いかに小型モビリティを活用してゆくべきか、について岡山大学社会貢献担当理事で副学長の荒木勝教授が持論を披露しました。
このシンポジウムが、岡山市における新しい都市交通のあり方を議論するきっかけとなり、今後の岡山市におけるまちづくりと交通体系の方向性を見出していく流れを作ることができたと確信しています。
▲ 一般社団法人 岡山経済同友会 萩原邦章 代表幹事
後援いただいた経済界を代表して、一般社団法人 岡山経済同友会 萩原邦章 代表幹事(萩原工業代表取締役社長)から挨拶を頂き閉会しました。
超ご多忙のなかを駆けつけていただきました、徳山技監に心より感謝です。
また、企画・運営関係者の皆様ご苦労様でした。
シンポジウム「地方都市の創生を目指す都市交通システムを考える」
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