8月31日(水)、お手伝いをはじめて4年目となる逢妻地域会議へ、最後の参加となりました。この逢妻地域では地域会議の取り組みがすっかり定着して、みなさん自らが地域の課題に対して積極的に取り組んでおられます。
今日も、今年度下期と来年度の活動に向けた事業計画を活発に討議し、また、交通安全活動についてテーマごとにチームを3つの分科会に分けて、それぞれの具体案を話し合い、それを発表し意見を出し合って決定するという理想的なやり方で進められていました。
その検討されている内容は、第一分科会は、地域内を走る通過車両へいかにして交通ルールを順守してもらい、交通事故の削減に結び付けてゆくかの検討です。そのために「通学路啓発張り看板・等身大人形の作成についてのデザインを小学校にアンケート協力を求め、告知効果を狙いながら地域みんなの意識を高めてゆくシナリオを考案されています。市役所や警察が単純に看板を業者に発注するケースがほとんどですが、逢妻では住民自らが看板のデザインの検討やそのプロセスで小学生の声を聞くことにより、地域へのアナウンスメント効果を考慮されています。
また、第2分科会では、立哨活動の継続が功を奏して、この地域の交通事故件数は3分の2に減少してきたことを受け、これからの活動継続のあり方について検討しています。特に朝の通学時間帯に進入禁止規制(7-9規制)を違反して逆走するクルマが減ってきた点は大きな成果であると言えましょう。この立哨活動に参加してもらう人の輪を広げるための呼びかけや、加えて、たすきやのぼりを考案して、その標語をみんなで検討し「安全な通学路」と「ゆっくり発進、ゆっくり停止」に決まりました。この2番目の標語は、豊田市が進める環境モデル都市構想のなかでエコドライブの推進に市をあげて取り組んでいるため、低炭素社会の実現も意識しています。
そして第3分科会が「安全のみどり線啓発チラシ、ポスターの配布」です。ポスターについては、地域の二つの小学校(小清水小学校と美山小学校)に夏休みの宿題として「通学路、安全のみどり線」を題材に絵を描いてもらい、優秀作品をポスターにして地域に貼りだす予定です。また、優秀作品の表彰式を実施する際に、近隣のトヨタ自動車の工場にお願いして、表彰式に臨席いただき、その場で小学生がポスターやチラシを手渡しして、交通安全をお願いするというシナリオを検討されています。とりわけ、これまでの活動で要望した危険個所2か所へ注意喚起のカラーリングが施されることが決まりました。市道だけでなく肝心な県道(宮上・知立線)に関しても愛知県が賛同してくれたようです。このカラーリングの着手・完成に合わせて表彰式が行われるとソーシャルマーケティングの観点からすると相乗効果が期待できます(アドバイス申し上げました)。
このように地域の皆さん自らが知恵を出し合って、創意工夫をしながら楽しく地域の交通安全活動を展開することによって地域の課題を解決するために「地域会議制度」とそれに基づく「地域予算提案事業制度」が貢献している点は、豊田市の他の地域会議の皆さんはもとより、全国の自治体や住民団体の皆さんにとって朗報であり、大いに参考として頂ける活動内容・実績に成長したことを報告させていただきます。
この逢妻の活動が長く継続されることにより地域の皆さんの暮らしが安全、安心、そして豊かになることを祈念いたします。
わたくし自身、この活動に参加させていただき筆舌しがたい貴重な経験を積ませていただきました。また、社会のお役にたてる一助となればとの思いから、研究者として日本学術会議をはじめ複数の学会や研究会で報告・発表をする機会に恵まれ、論文にもまとめさせて頂きました。
逢妻地域会議委員の皆様にお別れのご挨拶と謝辞を申し上げました。