九州金融懇話会にオブザーバー参加

3月1日(火)、朝から九州大学大学院博士課程(経済学)の入学試験を受験しました。試験終了後、ご午後から福岡市天神にあります西鉄グランドホテルで開催された、社団法人金融財政事情研究会主催の「九州金融懇話会」にオブザーバー参加しました。開催に先立ち、司会の社団法人金融財政事情研究会、河野晃史事務局長から挨拶がありました。
mim_20110308_01.jpg
 ▲ 九州金融懇話会
この日の講師はお二人で、まず、日本銀行金融機構局金融高度化センター企画役の碓井茂樹氏から「新しい枠組みの下での金融機関経営 ─ ガバナンス、リスク管理、内部監査の課題」をテーマに、引き続き、野村総合研究所ERMプロジェクト部上級コンサルタントの有村康哉氏から「金融機関のIFRS対応と経営管理の高度化」をテーマに講演がありました。会場には九州地区の地銀、第2地銀、信用金庫の頭取、理事長、専務取締役クラスの方が多数参加されており、講演の後に積極的な質疑応答があり、懇話会は充実した内容でした。
これは、先日、同じく九州大学川波洋一先生のご厚意によりオブザーバー参加させていただきました、福岡ガーデンパレスを会場にして開催された歴代日本銀行福岡支店長が主催の「金融問題研究会」で日本銀行金融機構局国際課長の岩崎淳氏により講演のあった「バーゼルIIIの概要 ─ 規制見直しの背景と主な内容」と密接に関係するテーマであり、大変、興味深く聞かせていただきました。
昨年(2010)9月に発表されたバーゼルIIIは、サブプライムショックの改善策としての色彩が濃く、サブプライムショックでは、カウンターパーティの信用力の変化に伴い、エクスポージャーの時価を調整する仕組みが機能せず、金融危機における損失の3分の2を招く結果となっています。つまり、リーマンショックに端を発した世界的金融危機における信用リスク顕在化による損失のうち、デフォルトによるものは3分の1で、残りの大半を占める損失は、その信用力低下によるCVA(信用評価調整)の結果とされています。すなわち、取引先であるカウンターパーティとの間でOTCデリバティブ取引や証券金融取引が行われ、当該カウンターパーティの破たんによりカウンターパーティ・リスク(デフォルト・リスク)が発生しました。同時にこうした取引では、通常の与信と異なり、市場リスクの要因やカウンターパーティの信用力の変化に伴いエクスポージャーの時価が変動するため、価格変動リスクが発生し、CVAの上昇に伴う損失の拡大と、CVAのボラティリティ上昇によるP/Lの振れ幅の拡大を招いたわけです。つまり、今回の金融危機では、CVA(信用評価調整)が、損失の3分の2を占めたのです。
この事態に対処すべく、従来のデフォルト基準の算出による信用リスク管理の考え方をベースに運用されてきた新BIS規制(バーゼル)を見直し、CCR(counterparty credit risk)の中核にCVAとそのVaRの計量を折り込むことにより、CVAの変動リスクに対する自己資本賦課の枠組みが必要との判断がなされたのです。その概要は、時価変動に係るリスクを、当該カウンターパーティが発行している債券の期待損失に係るマーケットリスク相当額とみなして、追加的に自己資本賦課を行う手法をベースに、さらに新たなリスク管理を行う手法の検討で、今回のバーゼルIIIでは、このCVAへの対応策として、具体的な計測方式を2012年末から導入する予定です。
また、先にも述べたとおり、10年9月12日、バーゼル委員会は、国際的に事業展開する銀行の新たなBIS規制(バーゼルIII)として、過去の利益の蓄積である内部留保と普通株が主体の「中核的自己資本」の比率を実質7%とすることで合意しています。こうした措置を受け、与信総額、リスク調整後利益、必要自己資本額を巡る信用リスク管理体制は、今後とも益々重要視されることとなるが、グローバルなデファクトスタンダードへの対応を目指す金融機関が、わが国にメガバンクや地方銀行など数が少なくなっている現実といかに向き合うかが課題となると予想されます。
国際基準の決定した経緯と内容について、直接、日本側の考え方を示し、交渉を担当した日本銀行からお話を聞けたことは、地方の大学に赴任したことにより、なかなかこうした最新の情報がとれなくなっている小職にとっては大きな収穫でした。小職の古巣である金融財政事情研究会の皆様方に感謝です。
mim_20110308_02.jpg
受付で、事務局を担当されている高橋さんと増岡さんにお礼を述べて、名古屋への帰路につきました。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)