東京大学から学ぶ

梅雨明け、7月20日は東京大学で研究会です。暑さで三四郎池も枯れ気味ながら、水面に夏の雲が映り静かです。

安田講堂を横切り、お昼の楽しみ工学部2号館に入る日比谷「松本楼」へ向かいました。残念ながら、団体貸切の都合とかで喫茶のみの営業でした。SUBWAYでランチを頂きました。

さて、地方創生では、国も霞ヶ関の縦割り体制に「横糸」を通すべく、内閣府に地方創生推進部署が設置されています(内閣官房では、まち ひと しごと創生本部)。

東京大学が進める横糸機能を担う組織のひとつに「情報学環(研究組織)・学際情報学府(教育組織)」があります。ちなみに情報学環(研究組織)機能の一翼を担うのが東京大学「福武ホール」です。岡山大学にも福武様(ベネッセ)のご支援により、故福武純子様のJにちなんで命名された「Jホール」と「Jテラス」が建設されています。

さて、この情報学環は、さすが東京大学であり、世界と伍す卓越した研究水準を持つ18の研究科、研究所、センターで「環」=「横糸」の研究組織が構成されています(図は東京大学資料より転載)。一方、岡山大学も11学部7研究科3研究所などを擁する地方大学としては総合大学です。

では、日本を代表する東京大学と地方に位置する岡山大学の類似性と相違性を、岡山大学として何処に見出すべきか、これが自らに課した東京大学出張のテーマであります。

まず類似性は、研究水準のレベル(ランキング)に関する議論は別として、総合大学としての総合力を如何に発揮すべきかが課題となります。すなわち、岡山大学は東京大学が推進する「環」=「横糸」の考え、施策から何を学ぶことができるか議論する必要がありましょう。とりわけ、この発想の源を、東京大学は新聞(マスコミ)研究という社会科学研究領域に持つ点に着目しています。国立大学に人文社会科学系領域不要論が展開される時世にあって、いち早く京都大学が異を唱え論陣を張りました。また、東京大学はその答えを、具体的に組織体制を持って示しています。

次に、相違点は如何にあるか、大学内部においても盛んに議論が進められていますが、その答えのひとつは、岡山という地域社会が持つ優位性にあると考えられます。岡山では、地域が一体となり、モビリティ研究やスポーツプロモーション研究の分野を皮切りとして、産官学金言民が一体となって議論する環境(まさに「環」=「横糸」)が、「おかやま地域発展協議体」や「おかやま円卓会議」の組成により整いました。そして、地域の諸組織・団体がテーマを持ち寄り、地域社会に横糸を通すべく、積極的に情報交換や課題解決に向けた議論を展開中です。つまり、東京、名古屋、大阪などの大都市では、都市の規模が大きすぎて、大所高所からの議論は出来ても、産官学金言民など都市を構成するメンバーが一堂に会し、市民参加で本音の意見を汲み上げ、議論を重ね、そして社会実装を図るまで「知行合一」を進めるという、緻密で丁寧なプロセスを構築するには限界があると考えられます。
岡山大学は、地域社会が持つ優位性を手がかりとして、総合大学が持つ幅広で複眼的な視座から世界水準を見つめ、最先端の研究と教育(人財育成)を担いつつ、地域の資源として地域社会と一体となり具体的な成果を積み上げることが重要な使命=存在意義のひとつであるとの答えを得ました(あくまで私見であり、必ずしも大学の考え方ではありません)。

岡山大学地域総合研究センターは、今後とも地域のプラットフォームとしての役割を担って参りたいと覚悟と決意を新たにいたしました。