新見市神郷地区「平成26年度後期 環境保全型森林ボランティア活動」

今回で3回目の参加となる一社)水辺のユニオンが3月4日から2週間の日程で主催する「環境保全型森林ボランティア」活動は、全国から20名を超える大学生や専門学校生が集まる人気の実践型教育プログラムです。
カツマル醤油醸造(株)の岡本研吾社長
 ▲ 右から二番目が岡本社長
今回は初めて岡山大学の学生がリーダーをつとめさせて頂きました。大学からは、石丸香苗准教授、絢野那陳助教と小職3名での参加です。合宿所に入る前に新見市で大変にお世話になっているカツマル醤油醸造(株)の岡本研吾社長をお訪ねして、高橋川流域の活性化について、そのお考えをお聴きしました。
カツマル醤油醸造(株)の岡本研吾社長
カツマル醤油さんは、岡本社長で3代目、明治32年の創業で、「伝統の技と本物の味を守りながら お客様のお声に常に耳を傾け、今の時代にぴったりと合う新しい感覚を持つ醤油製品の開発に努める」伝統の味を現代に伝える岡山県が誇る老舗の名店です。岡本社長からは「人口減少を食い止めることは出来ないが、減少するなかで、そこに暮らす人々が活き活きと暮らせる仕組みやネットワークをいかに構築すべきか考えることが大切である。各自治体単位にとどまらない、広域連携のシナリオを描き、実践することが大事である」と示唆に富んだアドバイスを頂だいすることが出来ました。歴史を刻む店内は、なんとも言えぬ趣があり、あっという間に2時間近くのときがたっておりました。これからも学生を含めて、ご指導を賜りたいとお伝えしてお店を後にいたしました。
新見
 ▲ 新見の街並と高梁川
中心市街地のまちなみを楽しませていただき、一路、合宿所へ向かいました。合宿所では、学生たちが待ち受けていてくれ、荷物を降ろしてから、早々にお風呂を勧めてくれました。絢野先生と一緒にお風呂を頂いてから、部屋へ戻ると、さっそくオリエンテーションが始まりました。主催者である一社)水辺のユニオンの仲村正彦理事から、諸注意が言い渡されます。この活動では、実際にチェーンソーを使って、どんどん間伐や倒木作業を進めます。一番に気になるのが怪我です。学生たちのなかには、リピーターとして経験を積んだ学生が複数いますので、森林組合などプロの方と経験を積んだ学生が、初めて参加した学生に指導を行うというシステムです。自己紹介が一巡すると、さっそく夕飯です。学生自らが作ったカレーライスをご馳走になりました。このように食事班、洗濯班、作業機械のメンテナンス班、全体のスケジュール管理班など、学生たちは初対面ながら、すぐにニックネームを覚えて、チームを作り分担された任務作業にかかります。はにかみ屋さんもいますが、すぐに打ち解けられるところは若さだと感心します。
学生
いつもお世話になっているリーダーの広島経済大学の竹友大騎君は、本当にしっかりされていて、今回も、てきぱきと、私たちや初参加の学生たちの身の回りに気を使ってくれました。感謝です。リーダシップ満点で、いつでも社会へ出られます。また、今回は岡山大学の三道哲也君もリーダーに、そして三重大学の有永心さんがサブリーダーをつとめました。
今回は、新見公立大学の学生の皆さんから、「この森林ボランティアでの経験を軸にして、新たなまちづくりのための学生サークルを立ち上げたいので、アドバイスが欲しい」と頼まれました。拙いながら、学生サークルの意義、企画・運営方法、地域社会との関わり方、その留意点、卒業による代替わりで活動が停滞するリスクとヘッジ策、岡山大学をはじめ、近隣大学との連携の重要性などについて、学生をみてきた経験に基づいてお話しました。新見公立大学の学生たちは、卒業後に看護師になる皆さんですので、とても態度がはっきりしているなかにも、きめ細かい気遣いを感じました。企画書が出来上がったら、アドバイスさせていただくことをお約束いたしました。立ち上げや岡山大学との連携が楽しみです。
さらに眼を見張ったのは、三重大学の学生たちです。昨年秋に開催されたESD世界会議のおりにも高梁川流域をテーマにして、素晴らしい研究報告ブースを出展していました。地元である岡山大学がポスターセッションでの展示だけでしたので、他見まで出かけてきて、調査研究活動をする実行力に脱帽です。専門的な知識を持ちながら、現場体験を積むという仕組みはとても重要であり、見習うべき点が多々ありました。
さて、新見市の森林状況は、森林面積79,327haの大部分を民有林が占め(59,292ha)、林野率は約87%です。また、人工林率は約59%で、その大部分はスギ・ヒノキ(94%)で占められています。しかし、木材材価の低迷、林業従事者の減少・高齢化等により、市内の森林施業の実施は年々困難になり、間伐等の保育作業を緊急に必要とする人工林が増加しているのが現状です。こうした状況は全国のあちらこちらで発生していると思われます。こうした現状を打開する手段として、大学生が地域の専門家の指導を受けながら、一般社団法人 水辺のユニオンが主催され、新見市、新見市森林組合、創山林業(株)など地域関係者が共催して、さらに岡山県備中県民局が後援しながら、新見市の健全な人工林を造成する「環境保全森林ボランティア活動」を実施しているわけです。今回の日程は、平成27年3月4日(水)集合、平成27年3月5日(木)~3月19日(木)の2週間の活動です。さて、恒例の新見市森林組合で顧問の岡本研吾社長から心構えを受けます。続いて新見市や県民局の方から、活動の趣旨・目的、間伐のやり方、チェーンソーの使い方についてレクチャーを受けます。午後から、学生たちは現地へ入り、森林フォレスターの皆さんに指導を頂きながら、チェーンソーの十種をして、間伐作業に入ります。
間伐

間伐

間伐
毎回、感じますが60年を過ぎた檜の大木が、切り倒される際の轟音と地響きには感動します。そして、この木が製材されて、木造住宅の大黒柱として様々な生活のシーンを見守り続けるのだと想像すると、ワクワクしてまいります。学生たちは3月、雪の残る急斜面でたくましく鍛えられます。座学では、到底に身につけることができない体験と共同生活により顔つきが変わるのです。
最後まで、安全に留意して、元気に山を降りてくる日を待ちたいと思います。
石丸先生、ナチン先生
 ▲ 石丸先生(左)と那陳先生(右)

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