毎年、総務省系の財団法人である一般財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団)の地域再生事業のアドバイザーとして、専門家を派遣している自治体訪問をさせて頂いてきました。今年度は、北海道の寿都町と香川県高松市が担当です。
9月9日10日は、岡山駅から瀬戸大橋線マリンライナーで高松駅を目指しました。
予定通りなら今年の11月にJR高松駅前に香川県スーパーアリーナのオープンを迎えます。白を基調とした妹島和世さんデザイン設計の素晴らしいデザインです。そして高松市は、駅から少し離れた港に位置する、青果、花卉、魚を扱う中央卸売り市場も全面建替えるプロジェクトが稼働しています。現在は卸売りが主体の市場ですが、一度、シャッターが降りた「うみまち商店街」を再生するプロジェクトが元気よく進んでいます。ゴールはアリーナと総合市場が、スポーツやアミューズメントイベントに高松食の広場を創設して相乗効果を生む賑わい拠点を創造します。ふるさと財団の地域再生アドバイザー制度で、外部専門家を派遣、その戦略シナリオ作りと社会実装プロジェクトをお手伝いすることです。高松市の外部専門家はJTBグループです。そのJTBは日本で二番目に出店した食の拠点を見学、その2階で意見交換会を実施しました。食のコンセプトは、瀬戸内で獲れた魚で、売り物にならない雑魚を素材にグルメ料理を提供することです。その店舗名は「クセモノズ」(雑魚を捨てずに活かす、SDGsのコンセプトも織り込んでいます)。特製のカレーを二種試食させて頂きました。将来的はレトルト販売を目指します。JTBさんからプレゼンを頂き、財団側が質問やコメントをさせて頂きました。
それから高松中央卸売市場の会議室で、高松市さんから、中央卸売り市場全面建替え計画の全容をご説明頂きました。卸売市場の全面建替えだけでも相当なご苦労があると拝察しますが、さらに観光拠点としての新たな食のスペースを作ると言うプロジェクトに脱帽でした。この説明を受けて、「うみまち商店街」を一軒一軒視察させて頂きました。地域の高校生からプロのアーティストまでが多彩なペインティングで商店街に活気を生み出しています。また、子供食堂や昭和レトロのお店からお洒落なスイーツのお店まで、若者に人気のコンセプトで再生が進んでいます。その後押しを高松市の精鋭部隊がサポートしています。また、さすがに四国を代表する自治体の皆さんのポテンシャルの高さに感服です。
高松駅近くの居酒屋で開かれた夜の情報交換交流会も大いに盛り上がりました。
〆は、カレーうどんの名店へお連れ頂きました。
翌日、9月10日は、朝から中央卸売り魚市場を見学させて頂きました。
売り物にならない雑魚の代表格の海のギャング「エイ」をさばいて頂きました。瀬戸内海の生態系の頂点に立つ魚です。魚を食べつくし、魚網を食いちぎる、さらに尾に毒針を持っているため刺されると大ケガにもつながりかねないなど、漁師さんにとって、一番の厄介者です。そのエイが手際よくさばかれてゆきました。JTBの担当者が、「漁師も食べない魚ですが、この身を調理して食べてみます」とチャレンジャ―としての意気込みを見せてくれました。
次に冷凍倉庫を見学させて頂きました。冷凍倉庫は-20℃でした。倉庫内には、日本中、そして世界中から、加工された魚たちが箱に積まれています。ご担当から、冷凍魚の種類や特徴、加工のポイント、倉庫への搬入先から搬出先まで、興味深いお話をレクチャー頂きました。倉庫を出た後も眼鏡のレンズが、相当長い間、凍って曇ったままでした。長く生きていますと、思わぬ体験をさせて頂けるものです。誠に勉強になりました。
最後に、再び高松中央卸売市場の会議室で振り返りミーティングを実施しました。次年度に向けた今後の課題と本事業の進め方を確認して散会しました。