井原市公共施設等マネジメント推進会議

現在、地方創生が進む一方で、地方の自治体は少子高齢社会の急速な進行と税収不足により、その財政は厳しい事態を余儀なくされています。
お手伝いを続けている井原市もその例外ではありません。


7月27日、井原市で公共施設等マネジメント推進会議が開催され委員長をつとめさせて頂きました。
井原市の公共施設等総合管理計画ついては、同市の公共施設等は高度経済成長期に整備された施設が多く、今後、一斉に建替えや大規模改修を迎え、また、人口減少、少子高齢化の進行に伴い、歳入・歳出面で厳しさを増すことが予想されるため、公共施設等の維持更新の考え方については、従来型の発想から、大きく意識を転換させる必要があります。
平成26年4月には、総務省から全国の地方公共団体に対して「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」が示され、平成28年度中に所要の計画を策定するよう要請がなされています。井原市では、平成28年3月の同市が保有する公共建築物の管理状況等を把握する「井原市公共施設白書」を作成、将来の見通しを踏まえ、公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針・考え方を定めた「井原市公共施設等総合管理計画」の策定を目指してきました。
この日は、これまで井原市が施設ごとに評価を進めた結果に基づき、第3次評価をいたす会議でした。同会議では、公共施設等を16の分類に分けて議論がなされました。

その内訳は、集会施設や文化施設等の「①市民文化系施設」、図書館や博物館等の「②社会教育系施設」、スポーツ施設、レクリエーション施設・観光施設等の「③スポーツ・レクリエーション系施設」、「④産業系施設」、学校等の「⑤学校教育系施設」、幼稚園・保育園や幼児・児童施設等の「⑥子育て支援施設」、高齢福祉施設や保健施設、その他社会福祉施設等の「⑦保健・福祉施設」、庁舎等や消防施設等の「⑧行政系施設」、そして「⑨公営住宅」、「⑩公園」、「⑪供給処理施設」、「⑫病院施設」、「⑬医療施設」、「⑭その他」、「⑮水道施設」、「⑯下水道施設」です。
なお、計画期間は、平成 29~38 年度の10年間とし、その後、10年毎に計画を更新するローリング方式を採用します。
全国でほぼ同じような傾向ではないかと思料されますが、地域で急速に少子高齢化が進行する様子から、市民はおおむね公共施設の老朽化に対しての関心があり、総量削減に対する方針にも理解を示していますが、一方で、公共が担ってきたサービス水準の低下や維持に係る税金や地域による自己負担による支出の増加は望んでいないと思われます。
こうした状況のなか、井原市の「公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針」の要諦を紹介しますと、公共施設については行政コスト(新築・改築・大規模修繕等。光熱水費等の運営費を除く)を、10年間で総計100億円以内に抑制、総延床面積は前年度を超えないようにしながら、施設更新時に、統廃合・複合化・多機能化を推進し、原則、単独新規施設整備を抑制しますと謳っています。
また、施設の必要性の高いものは積極的に活用し、低いものについては適切に除却、さらに既存施設の有効活用のため、計画的な修繕・更新及び耐震化・長寿命化を実施して、利用者の安全性及び適正なサービス水準を確保するとしています。
なお、統合や廃止の推進方針については、利用頻度が低い施設は、あり方を見直し、統合・廃止・効果的・効率的な施設配置を検討、さらに、中長期的な経費の見直し及び充当については、公共施設等の修繕・更新等は、国・県の補助金を活用、また、有利な地方債や公共施設整備基金を活用、同時に、民間活力の活用・民間と連携した運営維持管理(指定管理者制度を活用)を目指そうとしています。
加えて隣接する市町との連携(連携中枢都市圏の枠組みなど)を踏まえつつ、より広域的・効率的な運営ができるように検討するとの方針も明示されています。

こうして第3次評価を巡る会議は、全員の委員から、苦渋の選択を含む、様々な視点からの意見が出されました。
その内容を踏まえて、具体的な公共施設の維持管理を示した、最終的な方向性が示される段階まで進むこととなりました。
委員の皆様や市の担当者の皆様、持続可能な井原市の未来に向けて勇気ある方向性が示されたと確信いたします。
関係者の皆様、本当にご苦労様でございました。