早朝4時30分起床、5時から朝食をとり、タクシーで稚内港へ向かいました。
今日のコースは、稚内港から礼文島香深(かふか)港へ、そこから島内周遊のバスで観光、香深界隈で昼食をとり、利尻島鴛泊(おしどまり)港へ、再び島内周遊のバスで観光、利尻のホテル泊です。
あいにくの曇天、雨も降ったりやんだりです。乗船券の手配に手間取りましたが、予定通り大型フェリーに乗り込みホット一息、無事に出航です。甲板で日本海の景色を眺めました。見渡す限りの海原で、水平線が丸く見え、地球が丸いことを改めて実感しました。
乗船が最後の方でしたので、二等船室は多くの乗船客で埋まり、空いているスペースが限られました。ようやく隅っこをみつけ、朝が早かったので、そこで横になり一眠りいたしました。
香深港到着のアナウンスで眼が覚めました。乗船が遅れ、出口に近かったため、下船は一番となり、到着を待っていた2階建て周遊バスには一番乗りでした。発車定刻、若いガイドさんの案内で、バスは雨の中を島内観光に出発です。ガイドさんが、観光スポットや特徴あるポイントで、興味深い説明をしてくれます。島の少子化を食い止めるため、高校設置が求められ、少人数ながら北海道礼文高等学校(稚内高校礼文分校)が、いまも開校されているとのことです。車窓から眺めました。島内人口は1970年に7,535人であった人口が2010年には3,078人まで減少しています。鰊(ニシン)漁で栄えた昔と比べると、随分と人口が減少しています。それでも昆布漁をはじめ島の主要産業は漁業であり、それと観光が地元の暮らしを支えています。
さて、最初の観光スポット澄海(スカイ)岬です。バス停から小高い丘を登ると、突然、雄大な景色が眼の前に開けました。一瞬、息を呑みました。さすが、北海道最北端の島です。筆舌しがたい景色です。礼文島には、300種以上の草花が生息し、国内希少野生動植物種指定のレブンアツモリソウ (礼文敦盛草)をはじめ、頭に全てレブンがつく固有種であるイワレンゲ 、ユキソウ、キンバイソウ、コザクラなど、固有の植物が数多く生息しています。ハイシーズンは過ぎていましたが、それでもいくつかの珍しい花を観察することが出来ました。また、休憩所では、トド肉の串焼きを一本250円で販売していました。残酷な話ですが、トドによる漁業への被害額は莫大だそうで、トドを駆除する際には、親のオスやメスではなく、子供から射止めるそうです。親から先に射ると、片親と子供が逃げてしまい、子供から射止めると親は逃げないためだそうです。辛い話でしたが、岡山でも猪や鹿、猿や雉などによる獣害が広がっています。共生の道を探るべきではありますが、仕方がない面も否めません。
さて、次は、島の最北限(最北端は宗谷岬)、スコトン岬です。晴れた日にはサハリンが見えるポイントです。帽子が吹き飛ばされてしまうほど風が強く、さらに晴れたかと思ったら、いきなり強い雨が降り出します。まるで、スコールが断続的に襲ってくる、といった不思議な天候に悩まされました。それでも見事な自然の景観に圧倒され、何度もシャッターを切りました。岬の下には「民宿スコトン岬」がありました。この自然環境のもとで営業をしていること自体に驚きました。お土産物売り場は洗練されていて、島の特産品や島にちなんだ品々が「所狭し」と並びます。特産の昆布が入ったソフトクリームを購入、微かに昆布の香りがあるかなあ、といった按配で、上品に仕上げられています。ぺろりと頂だいいたしました。
また、ガイドさんの案内で、笑ってしまいましたが、「日本最北端の公衆トイレ」がありました。大勢の方が、記念写真を撮っています。公衆トイレが観光スポットになるとは、確かに珍しい光景でした。
▲ 桃岩(左)と猫岩
そして、最後の観光スポット、島の南に位置する桃岩、猫岩へと向かいました。ここは、これまでの景色とは趣が異なります。柔らかな感じがする緑が美しいなだらかな山々です。駐車場から少し歩くと、これまでとは違った岩の群れが見下ろせました。そのひとつが、確かに猫がおすましして立っているように見えます。皆さんの口から歓声が沸き、笑みがこぼれました。内地ではお目にかかれないであろう大自然の気まぐれが創りだした佇まいに心の洗濯が出来ました。
こうして、あっという間に周遊の時は過ぎ、バスは香深港へ戻りました。ガイドさんと運転手さんに全員が感謝の拍手を送り下車しました。すっかり、おなかも空きましたので、お目当ての地元漁協が直営している海鮮処「かふか」へと向かいました。メニューから、生の紫雲丹、蝦夷あわび、粒貝、北海蛸、ホッケなどを注文し、それにご飯と汁を付けました。新鮮この上なく、半分に割られた雲丹は、食した後も最後まで棘が動いていました。代金もリーゾナブルで大いに満足しました。
そうこうしていると、利尻行きの出航時刻が迫ってまいりました。足早に港へ取って返し、乗船です。天候がいまひとつで、雲の切れ間から、礼文岳(490m)の山頂を拝むことは出来ませんでした。日本海に射す太陽の光が美しかったことが救いです。これを「天使の贈り物」というそうです。船室に戻り、少し横になったかと思ったら、また、鴛泊港到着のアナウンスで起こされました。
なお、利尻島に到着した夕暮れに礼文岳が姿を現してくれました。思いを遂げることができて満足です。