世羅町から奥出雲

GWは、公務が多く、プライベートな時間をあまりとることができません。

4月29日は、一日だけ完全オフにして仕事を忘れ、広島県世羅町「花夢の里ロクタン」へ満開の芝桜を見物に、そして島根県奥出雲町へ文化産業遺産「角炉伝承館」を訪ねました。

中国自動車道を西へ尾道ICまで走り、そこから無料の尾道自動車道を利用して世羅ICまで、本当に便利になりました。

まず、道の駅「世羅」で休憩です。ご当地の食材を加工したお洒落な商品やジビエ商品など興味深い品が所狭しと並びます。また、一金5000円前後で鹿皮の敷物まで売られていました。

世羅珈琲が名物らしく試しに一杯いただきました。酸味が薄く苦味が引き立つお味でした。

さて、お目当ての「花夢(かむ)の里ロクタン」は芝桜が満開です。HPによれば「5万平方mの広さに約80万株の芝桜が咲き誇る芝桜庭園で、この他に3万平方mにもなる菜の花畑も有し、春になると一面が芝桜と菜の花で埋め尽くされます。また、赤やピンク以外にも白と紫の花が咲く芝桜が植えられており、その4色を使って広大な敷地をキャンパスに見立て絵が描かれています。」とあります。日差しが強く、日陰のベンチをみつけて、しばらくピンクや薄紫のジュータンを眺めながらまったりとした時間を過ごしました。

次に、「世羅ゆり園」に参りました。公式HPでは「夢の花大地「世羅ゆり園」は7haの広大な丘に広がる全天候型、日本最大のゆり園です。エレガントなゆりの香りと、高原を彩る愛らしい花々とのデュエットを心ゆくまでお楽しみください。その場での摘み取りや、切り花や球根各種の販売もございます。」 とあります。ここも広い庭、「HAPPY」の文字と「牛とパンダ」を花が模って植えられています。小高い丘から周囲の山々を眺めることができました。また、ハウスには様々な種類のゆりの花が咲き誇っています。

百合の自生種は約100品種あり、花言葉の総称は「純粋」「無垢」、そのなかでも白は「純潔」「威厳」、オレンジは「華麗 」、ピンクは「虚栄心 」、黄色は「陽気」だそうです。園内には、花を上向きに咲かせるのが特徴で、花びらの下の方が細く花の中が透けて見える「スカシユリ」と呼ばれる品種が多く咲いていました。品の良い香りがハウス内に漂います。じっくりと楽しませて頂きました。

さて、世羅町を後に一般道を北上いたしました。長閑でほっとする景観が続きます。途中から再び無料の松江自動車道に乗り、庄原市高野ICで下車、道の駅「たかの」で休憩しました。地元で採れた山菜がふんだんに並べられています。そこから再び一般道で奥出雲町をめざします。いくつかの峠を越えて広島県から島根県へ入りました。

ここ奥出雲は日本刀の原料になる「玉鋼」を生産する、古代からの製鉄法「たたら製鉄」の元祖であり、「奥出雲たたらと刀剣館」はじめ多くのスポットがあります。また地方創生活動でも様々な取り組みが功を奏している土地柄であります。

『奥出雲町HP』によれば角炉伝承館は「たたら製鉄には、江戸時代から大正時代まで操業された高殿たたらと、大正から昭和年間まで操業された角炉などがあります。たたら製鉄が近代洋式製鉄法に経済性で対抗できず衰退していった一時期、炉を粘土製からレンガ製の高炉に替え、連続操業ができるようにしたものが角炉です。古代からの製鉄と近代製鉄技術の中間に位置し、日本的にも珍しいものとなります。建物の中には、6体の人形を置き操業風景を再現。また、角炉伝承館の横には、文久元年(1861)から大正11年まで61年間操業した「槙原たたら」の地下構造が当時のまま保存されています。技術史に光を当てた貴重な展示です。」と記されています。

GWながら、これだけ見事な施設であるにも関わらず、たまたまかもしれませんが、他に観光客の姿はなく、また、施設を管理する方も無く、訪れた人が自分で電気をつけ、見学後に消して帰るという運営に、ちょっとびっくりしました。

新見市が取り組む「たたら技能・技法」の伝承活動と、出雲街道で連携する可能性を探っての訪問でしたのですが、もしかすると、先日の島根地震の影響もあるのかな、と感じました。一方で、国の名勝・天然記念物「鬼の舌震(オニノシタブルイ)」は観光客で賑わっていました。『しまね観光ナビ』によると「斐伊川の支流馬木川の急流が岩を削ってつくりだした、およそ3kmにわたる大渓谷である。Ⅴ字谷の左右には、大天狗岩、小天狗岩などの岩壁が屹立(きつりつ)している。また、谷のいたるところに、はんど岩や亀岩、千畳敷、天狗遊岩、畳石など、風化や水食による奇岩や怪岩が累々として横たわり、河底には大小の甌穴群がみられる。清流はそれらの間を縫って急流をつくり、またいたるところに深淵をたたえ、壮大な景観を展開している。渓谷沿いの遊歩道は2km弱あり、紅葉の時期が一番美しい(往復約60分)。この名前の由来は、『出雲国風土記』戀山(したいやま)の記述の中に「ワニが玉日女命(たまひめのみこと)という美しい女神を恋い慕う」とあり、この「ワニのしたふ」が転訛したものと伝えられる。昭和2年(1927)4月に国の名勝及び天然記念物の指定を受け、さらに、昭和39年(1964)4月には、県立自然公園として指定されている。」とあります。

近くにあるお目当ての手打ち蕎麦のお店は「本日完売」の札が出ており、逆に安心いたしました(食せなかったのは残念です)。

鬼の舌震は、遊歩道の約半分で折り返しましたが、『しまね観光ナビ』の案内の通り、新緑の優しい緑に抱かれながら清流沿いを散策する時間は贅沢そのものでした。

今回の休日は、斐乃上温泉(ひのかみおんせん)斐乃上荘で仕上げました。ここは日本三大美肌の湯と言われ、なんとpH9.9という超ツルツルの泉質で、「出雲神話「ヤマタノオロチ」伝説で知られる船通山山麓に湧く温泉として、古くから肌を美しくする湯として知られています。 女性客に人気があり、美肌効果が高く、湯上りの肌はビックリするくらいツルツル」との紹介通り、本当にツルツルな肌触りにびっくりしました。

帰りは出雲街道を抜けて鳥取県から伯備線沿いを新見市へ戻り、新見ICから中国自動車道、岡山自動車道で岡山へ戻りました。

たいした渋滞も無く、天候にも恵まれ、心地よく気分転換できました。