倉敷にて環境学習を語る

現在、岡山大学では環境学習やグローバル実践型教育を展開すべく、倉敷市水島コンビナートを舞台に様々な活動を続けています。また、地方創生に向けて全国の自治体が創生戦略を描くなかで、ここ倉敷市では、高梁川流域を結び、中枢拠点都市圏構想の拠点と市として近隣自治体と連携を深めています。こうしたなかで、高梁川の河口には瀬戸内海に面して世界に誇る水島コンビナートがあります。
6月2日、ここ水島コンビナート企業と一層の連携を深めるべく、先ごろまで、三菱ケミカルホールディングスで代表取締役副社長をつとめられていた津田 登 現取締役に地元へお越し頂き、現状の岡山大学やNPOの活動や課題をお聴き頂き、コンビナート企業にご協力を要請いたしました。
津田様と伊藤直人地域総合研究センターアドバイザー
 ▲ 津田様(右)と伊藤アドバイザー
岡山駅に津田様と伊藤直人地域総合研究センターアドバイザーをお迎にあがりました。そして地域総合研究センターへお立ち寄り頂いてから、倉敷まで岡山大学の公用車でお連れ申し上げました。運転と現地でのご案内役は、山陽新聞から出向いただいている三木良一センター長補佐と小職が担当いたしました。実は、津田様と伊藤アドバーザーは、荒木勝理事・副学長と高校の同級生です。
さて、倉敷では、美観地区の中ほどにある、森田酒造を見学させていただきました。森田酒造の酒造りをHPから紹介します。「私は手造りがすべてだとは思っていません。ただ、自然から与えられた良い素材が自分の手の中で次第に姿を変えていく、時間をかけた丁寧な仕事が、その変化をスローモーションでみせてくれる、それがただただ面白いと思うのです。もの作りの最初の形がそこにあると思うのです。一生懸命に汗を流して作ったものが、必ずしも適切に評価されるとは限りません。うまい、まずいの声に戸惑っていたのでは作る事その事が苦痛になります。自分が納得できればそれでいい、王道を歩いている確信があれば、それがベストと思っています。もの作りはまず素材選びから始まります。素材がよくなければすべての努力は無駄になります。いいものが手に入れば、あとは楽しくものが作れます。私達日本人は、遠い記憶の中に意地とか見栄を大切に思うDNAを持っています。私はスタッフに「意地をはれ」と声をかける事がよくあります。」とあります。
森田酒造

森田酒造
 ▲ 森田酒造
また「私共では大吟醸は兵庫県産の山田錦を使用しますが皆様にいつも飲んでいただくお酒は産地指定の 県産朝日、あけぼのの一等米を使用しています。 “おいしい酒は美味しい米からしか出来ない” というのが私共の実感です。仕込水は高梁川の伏流水を使用します。軟水である為淡麗でやさしい酒質となります。又、5年程前から岡山県哲多郡金附山地底湖水を使って吟醸を造っていますがいまだ水の力を100%表現する事が出来ません。いつの日かこの素晴らしい水をコントロールして目のさめるような酒を造るのが私共の夢です。」と地元のお米と高梁川の水を活かした酒造りを続けておられます。杜氏に酒蔵をご案内頂きました。森田酒造の酒造工程をHPから引用させていただきます。この工程に沿って、丁寧にご説明頂きました。こうした米と水から日本酒を醸造する酒造りの技は、化学分野で世界一を目指す三菱ケミカルグループに通ずるところがあるのではないかと感じました。
また、森田酒造には見事な庭を持つ平翠軒(へいすいけん)」と命名された茶室があり見学させていただきました(平翠軒は、森田家に古くから伝わる茶室である。現在の建物は、表千家の残月亭を写したもので、それ以前は、倉敷の古禄、銭屋のゲストハウスであった。江戸時代の高名な書家、貫名海屋が当地を訪れた時、命名したといわれている。平翠軒の翠は、翡翠の翠。”かわせみ”の羽の色)。手入れの行き届いたお庭と茶室を眺めさせて頂きました。さすが天領であった倉敷の歴史の重みや奥深さを感じました。
平翠軒(へいすいけん)にて平翠軒(へいすいけん)
 ▲ 平翠軒(へいすいけん)
さらに森田酒造は、日本や世界から集められた逸品の食材を販売する平翠軒(同名のショップ)をお持ちです。平翠軒のHPによれば「“飽食の中の飢餓”という言葉を想うとき、あることに気付きます。私たちにとって食べ物とは風土との素晴らしい関係の象徴ではないか、 自然と人間とのかけがえのない交わりの結晶ではないかということです。私たちが日頃手にする食べ物はあまりに人工的に調理され加味されてしまいました。むしろ干す、煮る、燻す、漬ける、練る、醸すといった人間の食べ物への知恵と技術が、陽の光、潮の香り、土の息吹きといった自然の記憶とからみあい、豊かな素材にもう一つの命を吹き込む、そうした人間の技と自然の恵みが溶けあったものこそ 本当の食べ物といえるのではないでしょうか。そうした心の御馳走を求めて私たちは各地でいろいろな人に出会い、いろいろな滋味にあふれた食べ物に出会いました。それでもマスプロ化されていない良質の食べ物を手に入れるのは極めて難しく、まだまだ情報が足りません。皆様からいろいろな助言を いただければ幸いです。」とあります。
日本酒の製造工程(森田酒造HPより)
 ▲ 日本酒の製造工程(森田酒造HPより)
そして、荒木勝理事が合流して、ここ平翠軒2階にある喫茶コーナーで、コーヒーを頂きながら、意見交換をさせて頂きました。数十年ぶりの再会を果たした二人に、今回の機会を設けてくださった伊藤アドバイザーが加わり、三人で揃ったのは、高校を卒業されてはじめてとか。
三人
 ▲ 同級生の三人。左から津田様、荒木理事、伊藤アドバイザー
旅館くらしき

旅館くらしき
夜は、倉敷木材の大久保憲作社長にも加わっていただき、美観地区の掘割にある老舗「旅館くらしき」へ場所を移して会食を楽しみました。大久保社長からは、高梁川流域連盟の志と目指すべき方向性について話題提供を頂きました。
旅館くらしき
 ▲ 大久保社長(左)と津田様
「旅館くらしき」は見事な造りの旅館で、岡山県を代表する名館です。お庭も見事で、落ち着いた雰囲気のなかで、地の食材をふんだんに使った本格的な和食を馳走になりました。三人の思い出話に花が咲きました。また、津田様より、三菱ケミカルグループとして、地域社会への貢献活動について前向きに取り組んでいただくことをお約束いただきました。
旅館くらしきにて
誠に実り多い日となりました。

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