10月5日(火)、日本学術会議「総合工学委員会・機械工学委員会合同工学システムに関する安全・安心・リスク検討分科会 事故死傷者ゼロを目指すための科学的アプローチ検討小委員会(第21期・第8回)」にお招きいただき話題提供を行いました。
会場は、同委員会の委員長である東京農工大学大学院の永井正夫教授が所属される東京農工大小金井キャンパス機械システム工学科9号館505会議室で開催されました。小職の報告テーマは「豊田市での市民参加型の交通安全教育プログラム」でした。
今回の話題提供の機会を与えていただいた東京大学高齢社会総合研究機構・機構長、大学院工学系研究科教授の鎌田実先生の司会でご紹介いただき、40分間の報告の後、委員の先生方から大所高所からのご示唆やアドバイスを頂戴する事ができました。とりわけ、わが国の社会基盤工学、交通と都市政策分野の第一人者である東京大学大学院工学研究科教授の家田仁先生からは、先生が指導された国道17号におけるパフォーマンスマネジメントをはじめ、交通安全活動の実際事例を引用いただき、さらに小学生、中学生、高校生と年齢を重ねる各段階での継続した交通安全啓発教育が大切である点、地域における交通事故削減のためには警察の協力が不可欠である点など、力強い励ましのお言葉をいただき感激いたしました。
こうした先生方からのコメントに加え、国の交通安全環境研究所をはじめ自動車安全運転センター、日本ヒューマンファクター研究所の委員さんからのアドバイス、そしてトヨタ自動車の取り組みについては東京本社渉外部さん、豊田市逢妻地域において住民がドライブレコーダを搭載して調査を実施した際の「運転診断書」の内容説明に関しては東京海上日動リスクコンサルティング自動車グループのご担当から説明がありました。
また、豊田市環境モデル都市エコドライブプロジェクトの紹介や今週からスタートしたトヨタ自動車「i‐REAL」、「Winglet」を利用した電動パーソナルモビリティの豊田市における社会実験についても話題提供をさせていただき、このテーマについても多くのご質問や意見交換がなされ、予定の質疑応答時間を大幅に延長してディスカッションが行われました。
小職の報告に続き、委員長の永井正夫先生と共同研究をされている東京農工大大学院若手人材育成拠点工学研究院のポンサトーン・ラクシンチャラーンサク特任准教授から「常時記録型ドライブレコーダを活用した研究」をテーマとした報告がなされました。ドライブレコーダのデータをデータマイニングし、ドライバーの運転操作を診断しようとする試みであり、興味深い内容のお話でした。
この話題提供の後、永井先生を中心とされる研究チームが開発された、実際のドライブシミュレータの紹介を実験室へ移動してご説明いただきました。お二人の委員の先生が代表してシミュレータの体験をされ、専門的な観点から感想を述べられました。そのあとで、さらにキャンパスの屋外にご準備いただいた「常時記録型ドライブレコーダを活用した研究」の実験車両や超小型電気自動車を用いた障害物自動回避の運動制御システムの実演説明などをいただく機会を得ました。
日本学術会議での報告という貴重な機会を頂戴した鎌田実先生に心から感謝いたす次第です。