9月8日(土)、岡山大学創立50周年記念館を会場に開催された「日本計画行政学会」第35回全国大会記念講演会・シンポジウムを聴かせていただきました。
メインテーマは「ソーシャルイノベーションと地域再生」です。
現代社会が直面する数々の課題の解決に向けて、新たなイノベーションを如何に起こすべきかを多面的に語り合う内容でした。大会要旨を同学会のHPより引用させていただきます。
「現在の日本は、少子高齢化の急速な進展、グローバル競争の激化、地球温暖化等の問題に加えて、東日本大震災による安全・安心神話の崩壊、エネルギー危機といった新たな課題にも直面しており、経済社会の停滞がさらに長期化・深刻化していくことが懸念されている。日本計画行政学会では、我が国が閉塞感を打破し、新たな持続的発展の基盤を構築していくためには、ソーシャルイノベーションによる国家デザインの改革が急務との認識に立ち、2011 年度に始まる3 年間の共通テーマを「ソーシャルイノベーションと計画行政」とした。2012 年の日本計画行政学会第35 回全国大会は、中国支部が担当し、「ソーシャルイノベーションと地域再生」をテーマとして、岡山大学において開催する。今大会では、第34 回全国大会で明らかにした「ソーシャルイノベーションと計画行政のフロンティア」に関する諸課題をふまえつつ、地域再生に焦点を当て、大都市圏および地方圏におけるソーシャルイノベーションを具体的にどのように促進していくかについて、理論的考察のみならず、様々な実践例をふまえた活発な議論が展開されることを期待する。
また、地方圏での全国大会開催であることをふまえ、地方都市や中山間地域の持続的発展に向けて、地域資源や地域の担い手を最大限に活用した地方におけるソーシャルイノベーションのあり方についても明らかにしたい。」
阿部宏史、岡山大学理事・副学長(学会中国支部長)の司会で記念講演が、はじまりました。大会記念講演のテーマは「地域再生とまちづくり」で、講師は小嶋光信(両備ホールディングス株式会社 代表取締役会長(CEO))です。このブログでも既に紹介させていただきましたが、小嶋会長は、和歌山電鐵や中国バスなど公共交通7社の赤字路線の再生を含む交通運輸事業15社の再建を手掛けた、地方公共交通の救世主的存在です。両備グループの教えにもなっている、論語の忠恕(ちゅうじょ)について、閑谷学校を池田公の命により創設した津田永忠や陽明学の教えである知行合一を紹介しながらの経営理念、そして再建の道のりと、公共交通における官と私の関係など、持論を明瞭な語りで披露いただきました。
続くシンポジウムのテーマは「ソーシャルイノベーションと地域再生」で、パネリストとして、鎌倉秀章氏(中国経済連合会 専務理事)、髙次秀明氏(岡山市 経済局長)、古市大藏氏(岡山商工会議所 副会頭)、池田満之氏(NPO 法人「持続可能な開発のための教育の10 年」推進会議(ESD-J) 副代表理事)、伊藤敏安氏(広島大学 教授)が登壇されました。そして、コメンテーターを先ほど記念講演をされた小嶋光信氏(両備ホールディングス株式会社 代表取締役会長(CEO))に細野助博先生(中央大学 教授)が加わり、コーディネーター役を阿部宏史先生(岡山大学 教授)がつとめられました。また、壇上の整備やパソコンの操作を、本学環境理工学部の氏原岳人先生が担当されていて、テキパキと運営をされていました。
髙次秀明経済局長、古市大藏副会頭とは、岡山市経済戦略懇話会などで頻繁に顔を合していますが、流石に学会の大会とあって、深く突っ込んだ持論を披露されたとの印象です。各界の第一線で活躍されている皆様の話は、説得力に溢れていました。
シンポジウム終了後、阿部 宏史先生から、学会への入会を勧めて頂き、よろしくお願い申し上げました。
いまの日本のおかれた閉塞感を脱するには、まだまだ、道のりは遠いかもしれませんが、一歩一歩前進するしかないことを改めて感じました。大変、有意義な会でした。