吉備の国から日本が変わる~歴史・文化・人~と銘打って「地域包括ケアシステムと在宅ケアを支える診療所・市民の役割」と題したシンポジウム大会が、9月14日・15日の二日間、岡山駅西口のコンベンションホールで開催されました。岡山大学からは医学部の浜田淳教授、大塚文雄教授、片岡仁美教授、中瀬克己教授をはじめ大勢の教員がそれぞれの専門領域から、シンポジウムにふさわしいテーマで講演されました。
小職は「岡山大学・自治体連携の取り組み 地域に関わる・地域で学ぶ-医療介護とまちづくり」セッションの座長をつとめました。コーディネーターを同僚の山川路代先生にお願いし、シンポジストは、岡山県美作県民局地域政策部から脇本弘正さん、真庭市から大熊江美子健康福祉部健康推進課長と山崎博子高齢者支援課参事、笠岡市から網本善光健康福祉部健康医療課長、そして現役学生として岡山大学医学部医学科4回生の村田有里恵さんの5名です。
冒頭、小職から、岡山大学では、医学部と地域総合研究センターが共同で、「多職種連携と地域包括ケアのワークショップ」を企画し、2010年の真庭市を皮切りに、去年の笠岡市まで、今までに岡山県内5か所の自治体にご協力いただき、実施して参った経緯と実践内容の報告をいたしました。その要諦は、このワークショップは、岡山県内5大学や専門学校の学生や教職員が地域に集結し、地域の人たちとともに地域の課題やその解決に向けたアイデアについて議論することを目的としていること、今回のシンポジウムでは、この「多職種連携と地域包括ケアのワークショップ」の実施にご協力を賜った自治体のうち、真庭市および笠岡市から地域医療・介護の担当者の方々、岡山大学卒業生、岡山大学の現役医学生をパネリストとしてお迎えし、真庭市および笠岡市の担当者の方々からは、あらためて、それぞれの地域の医療や介護に関する課題と対応の状況についてお話いただくこと、さらに、岡山大学卒業生および岡山大学の現役医学生からは、学生による地域での活動について紹介することである点を伝えました。
シンポジウムでは、笠岡市の網本さん、真庭市の大熊さん、山崎さんから、それぞれの自治体が抱える地域医療や介護における課題と対応の状況をお話いただき、二つの自治体で共通している課題は、医療と介護の連携であるとの報告を受けました。その課題への対応として、笠岡市は、平成25年から岡山県の委託を受けて進めている「在宅医療連携拠点事業」として、多職種の顔の見える関係づくり、住民を対象とした講演会や、医療と介護の連携が必要な事例の検討会を開催、また、島しょ部の介護事業を確保するため、住民組織NPOの育成や支援を行っておられること。
また、真庭市は、平成24年度から市民を巻き込んだ「地域医療ミーティング」を開催、また、医師や介護支援員をはじめとした12職種が参加する「医師と多職種の懇談会」を開催し、お互いに顔の見える関係づくりを進めておられるとの報告がなされました。
さらに、岡山大学卒業生で、現在、岡山県美作県民局に勤務されている脇本さん、学生グループ・イロハに所属されている、岡山大学の現役医学生の村田さんの二人からは、学生による地域での活動について発表いただき、大学には積極的に地域とかかわりたい、多種多様な専門を学ぶ学生がいて、大学はそういった学生を支援していることを会場のみなさんにお伝えすることができました。
最後に、「地域の大学や学生に対する期待」、「学生の地域貢献活動の意義」という2つの観点から、会場から質疑やコメント等をいただきながら、今後の大学としての地域・社会貢献の在り方について、私の見解を述べさせていただきました。
実り多きシンポジウムでありました。お忙しいなかをシンポジストをお受けいただきました皆様に感謝です。
いのちとくらしを守る地域づくりシンポジウム
地域包括ケアシステムと在宅ケアを支える診療所・市民の役割
第20回記念大会 全国の集いin岡山2014